ぼくは悪党になりたい
僕はエイジ、17歳。父親は不在、奔放な母と腕白な異父弟・ヒロトと3人で平凡な生活を送ってる。毎日家事全般をこなす高校生が「平凡」かは疑問だが。ある日弟が病気で倒れたのを境に、僕の日常が少しずつ崩れて…。
「マジメないい子ちゃんはもう止める!悪党になって人生踏み外してやる!」
そう決意したエイジ17歳のささやかな「反抗期」を、優しい眼差しで描いた物語。
題材自体はさほど目新しさを感じないのだけど、エイジの周囲の人間ったら!
ひとクセもふたクセもある個性的な人、人、人。人ばかり(汗)。
シングルマザーで子供そっちのけ、仕事に恋に奔放に生きる母親に、
モテモテのクセにヴァーチャルな愛に転んだロリおたの友人・羊谷でしょ、
羊谷の恋人の座から転落。何とか振り向かせたいイマドキの女子高生アヤに、
そして中学生の分際で、精子提供者となった杉尾さんでしょ。
「生きたいように生きている」(エイジ談)彼らに、
嘘臭くない妙なリアリティがあって。
現実からさほど乖離していない感が、エイジのぼやきともども
私にはとても面白く感じた(*^^*)。
シングルマザーな母親をまるで否定しないエイジが少し不可解だったけど
ラストで父親の存在、そして自分の存在をも肯定できて良かったと思いまする。
p.178〜p.185に、ちょっと胸キュン(笑)。心がじんわり温かくなる。
母親のような恋が、恋の相手が、エイジくんにも訪れるんでしょうか(*^^*)。
期待せずに読んだけど、想像以上に面白かった♪
他の作品も探して読んでみるつもり。