本当はちがうんだ日記
今の自分は「リハーサル」、本当の自分ではない。「現実」から逃げつづけてきた臆病歌人が恋愛&人生にぐるぐる悩む。おかしくてちょっと切ないエッセイ。『小説すばる』『本の雑誌』等掲載。
ネットの本読み仲間の間で、ものすご〜〜く大人気の穂村さん。
とても気になっていたのになかなか読めなくて、このエッセイが初穂村体験。
「本の雑誌」のコラムは読んでたし、吉野さんのエッセイ漫画で見知ってるから
まったくの初対面ではないんだけど、ね。
期待しつつ読んだら、、、うきゃきゃ。穂村さん、キャラ面白すぎ!
想像以上のダメっぷりに驚きながらくすくす笑い、自虐のひりひりした痛みに
共感して身悶えし、敏感な言語感覚に感嘆してました。
しっかし穂村さん、ここまでダメダメな自分を曝け出しちゃっていいの?
でもきっと穂村さん的にはOKなんだろうな。
現実からずれていてダメダメな自分が決して嫌いではなく、
愛しく思っていることがひしひしと伝わってくるんだもん。
このエッセイはねじくれた自己愛の表れなんですね、きっと。
「ロマン文庫の皮剥ぎ」「真の本好き」「馬鹿的思考」「明日へのうさぎ跳び」に
バカウケして大笑いし、「現実圧」「優先順位」にしみじみと共感、
「あたまたち」「あだ名」「二月十四日」「友達への道」のせんのなさ、
ラストの切なさにどきりとする。
「豊島区と身長」「「ね」の未来」「いっかげん」「嘘と裏切りの宝石」は
言葉に鋭く反応し、言語へのこだわりが見え隠れして面白く、
「みえないスタンプ」「「この世」の大穴」「硝子人間の頃」の飛躍した発想、
なるほど感の面白さと切なさがいい。好き好き。
歌人ならではの「悪魔の願い」「うたびとたち」。短歌の魅力に少し触れた気がするし、「それ以来、白い杖を持ったひとを見つめてしまう」「タクシー乗り場にて」の切なさに胸が締め付けられるようだ。
さてこの度、ご結婚された穂村さん。
「金額換算」を“結婚がおそろしく思えた”と締め括っているけれど、、、
実際の結婚生活はいかがですか?(笑)
評判の高い『世界音痴』、『現実入門』に『もうおうちへかえりましょう』も
ぜひ読んでみたい。穂村氏が持つ不思議な魅力の虜になったみたい、私も。
(歌人なんだから、肝心の歌集も読めって!>私^^;)