ふにゅう
「一度でいい。かわいい愛娘に、母乳ならぬ父乳をやってみたい!」 仕事に燃えるママに代わって育児に頑張るパパの「超現実」を描いた、思わず苦笑の小説集。
母性愛ならぬ父性愛溢れるお父さん達が、子育てに悪戦苦闘するさまを
コミカルかつブラックに描いた家族小説なのだが、物語を通じて
「子育てとは?」「結婚とは?」「夫婦とは?」
簡単には答えが出ない、また正解のない問いを投げかけられているかのようだ。
我が家も四歳児な幼稚園児がいて、作品で描かれる家族と大して変わらず
他人事のようには思えなくて、綺麗に気持ちを重ねながら読んでいた気がする。
ふと我に返り「私ならどうだろう?」考えされられる部分が非常に多かった。
(ま、作品で語られる主張の全部が全部、正しいとは思わないんだけどね。
「専業主夫」「専業主婦」を選ぶのは人それぞれ。決して悪い事だとは思わない。
「子育ても男女平等」には賛同はするけれど
「母の役割」「父の役割」二つに割り切れないモノもあるはず。
それに大人の都合(主張)で子供を振り回している部分もあって、
読んでいてやりきれない部分が多々あったっす/涙)
特に印象に残ったのが「キンヤンマ、再配置プロジェクト」。
母親(家庭)と社会人とを両立させる難しさを、痛感されられたかも。
同じ女性として
「子供は私の足枷。私の居場所は職場。外に出たい」
淳子の心からの叫びが、非常によく分かる。
子供中心の生活なんて、長い人生から見ればほんのわずかな時間。でも…。
頭では分かっていても、なかなか感情的には納得できない時があるのよね。
今、専業主婦として家庭にいる女性だって、きっとそう思っているはず。
でも、、、後に残された子供を見ると、そのためには家庭を犠牲にしていいのか、
求める子供に与えるべき愛情を与えずにいてそれで本当にいいのか、
羨ましいはずの淳子の生き方が、なんだか許せないものに思えてきてしまう、、、。
ま、実際の問題として、これほど極端な事にはならないんでしょうが(汗)。
ふぅ。母親の社会進出には、理解ある配偶者の存在が欠かせないのねえ。実感。
現在、未就学児の子育て真っ最中のお母さん&お父さん、
そして子育てを妻に任せっきりの旦那さまにぜひぜひオススメしたい作品かと。
育児に煮詰まっている時に読めば、
発想転換のためのちょっとしたヒントを与えてくれるかも♪
ホントは「桜川エピキュリアン」みたいな
コミカルな父性愛の話のが好きな私です〜(*^^*)。
しっかし、どの作品に登場するお父さんも優しくて物分かりがいいですなあ(羨望)。