れんげ野原のまんなかで
森谷 明子
職員の目を盗んで閉館後の図書館に居残ろうとする少年たちが次々現われた。いったい何を狙っているのか? 新米司書・文子と先輩の能勢がめぐり合う、本の旅人たちの悲喜交々の物語。
『千年の黙 異本源氏物語』で第13回鮎川哲也賞を受賞した森谷明子さんの
待望の受賞後第1作目は、図書館が舞台で図書館司書が探偵役を務める、
本にまつわる日常の謎系ミステリの連作集。
本好きあーんど図書館好きには、にまにましちゃってたまらない1冊かも。
読んでいる最中、『晴れた日は図書館へ行こう』や『永遠の森 博物館惑星』や
加納朋子さんの作品をつい思い浮かべていた私(*^^*)。
舞台となる図書館自体、もし実在するならお弁当持参で毎日のように入り浸りたい理想的な図書館だし、それに負けず劣らず、すっごく雰囲気が良くて心温まる素敵な作品集なんだけど…。
本格ミステリとしてはもうひとひねりか、連作の最後にドカンという仕掛けが欲しかったなあ。それだけが、少々物足りなかった私です。
私自身司書の資格を持っているし、身近に公共図書館員がいる関係上、図書館業務や内部事情について、そこそこ聞きかじっているんですが、
作品でさりげなく描写されている図書館実情のリアルさに、思わずビックリ!!
なんて詳しいんだ!取材されたのかなあ?それとも森谷さんご自身が司書?
ただ、「図書館員はこうだ!」とか、断定的に書かれている部分に
「む」ちょこっと引っかかってしまったのだけど。ま、枝葉の部分ですけどね。
主人公文子ちゃんと探偵役の能勢さんとの恋愛を期待して読んでいたのに…
あらら。能勢さんって既婚者だったのねー。がっかり&残念。
でも重たいようで後味がいい第5話「れんげ、咲く」で、もやもやをふっきり
前向きにずんずん進んでいけそうな文子ちゃんの姿を見て、ほっと安心。
その先には何があるのか。
図書館ミステリと一緒に、文子ちゃんの恋にも期待したい。続編、熱烈希望!!
私にとっての最大の謎は
“能勢さんの奥さんに文子ちゃんが貸し出した本とは何か!”
だったりする。
(…貸し出し手続きした?つか、貸し出しカードを持ってたのかしら?)
キーワード入れて検索してみたけれど、さっぱり判らず(涙)。
判らないとなると余計に知りたくなるもの。判った方、こっそり教えてね!
そうそう、キモになってる児童書2冊、私、読んでませーん。
図書館環境が悪すぎて、子供時代に読み損なっちゃった(涙)。
小学3年生でそこまで耽溺できる本に巡り合えるなんて、なんて幸せなんだ!