ぶたぶた日記
矢崎 存美
ぶたのぬいぐるみが生命を持ったら!? 見かけはかわいいぬいぐるみだが、中身は知恵も分別も人一倍ある中年男・山崎ぶたぶた。義母(?)の代理でカルチャースクールのエッセイ講座に通うことになったぶたぶたが、仲間の生徒たちの人生に温かな波紋を広げてゆく……。
くすっと笑えて、静かな感動が残る――ご存知超人気シリーズ新作が、書下ろしで登場!
前作から約1年2ヶ月ぶりに、山崎ぶたぶたの物語の新作がついに登場!!
しかも前作は単発の短編で、ファンとしてはものすご〜く物足りなかったけど
待ちに待ったこの新作は、なんと連作短編集なのだ(感涙)。
カルチャースクールの日記エッセイ講座を舞台に、
色んな事情から参加している仲間たちの疲れて固く強張った心を、
ぶたぶたの存在が優しくほぐしていく……じ〜ん。感動で胸が熱くなっちゃう!
ただちょっと見た目が特別なだけで、中身はフツーのおじさんなのに。不思議。
やっぱり読んでる私まで、ぶたぶたの存在に励まされ、
心がほよ〜んとしちゃった(*^^*)。
でも、この世の中が善意だけで成り立っていないように、
この物語も口当たりがいいだけの「癒しの物語」じゃない。
後半にかけてじわじわ染み出てくる世間の悪意に、胸が突かれる思いがした。
悪意に心も体も傷つきながら、でも絶望だけは決してしないぶたぶた。
誰もが見えない善意になれたら、世の中、少しは生きやすくなるのかもしれない。
ぶたぶただけでなく、私たちも。
私にとっての最大の収穫は、マイホームパパなぶたぶたが堪能できた事!!
二人の娘さんと一緒にお風呂に入ったり、お料理やお菓子を一緒に作ったり、
茶渋に気をつけながら(時にはストローで♪)お茶を飲むぶたぶた…ほわ〜ん。
山崎家での温かい家族団欒の情景がありありと目に浮かんでくるようだ。
今まで特に意識したことはなかったけど、
この家庭があるからこそ、「癒しの存在」としてのぶたぶたがあるのかしら?
という事で最後にひと言。
“ぶたぶたかわいいーーーっ!!ウチにも遊びに来てーーーっ!!
ついでに晩ご飯のおかずも作ってぇーーーっ!!”(ゼイゼイ…)
ほとんど松浦潤子さんのノリですか(汗)。
疲れた心には、本当にぶたぶたの存在がとても効きます(*^^*)。
(え?伊良部センセとぶたぶたが似てるってー?)
シリーズモノなのに、出版社を転々としてますが(流浪の民、ぶたぶた…ぐすん)
ぶたぶた未経験の方は、この機会にぜひぜひご一読を!!