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吉田修一『女たちは二度遊ぶ』

女たちは二度遊ぶ
女たちは二度遊ぶ吉田 修一
角川書店 2006-03-25
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甘く、時に苦く哀しい、美しい女たち、11人のショートストーリー
ルーズな女、がらっぱちな女、気前のいい女、よく泣く女、美人なのに、外見とはかけ離れた木造ボロアパートに住む女……。甘く、時に苦く哀しい、美しい女たち、11人のショートストーリー。気鋭による傑作短篇集。

吉田修一が鮮やかに描き出す、記憶の中の息づく11人の女性にまつわる11の物語。
人生のある瞬間、確かに主人公自身の人生とかの人の人生は交錯したのだと、
まるで自分自身に言含めているかのような感触を持つ小説でした。
くっきりとした輪郭を与えられて記憶の底から浮かび上がってくるものは、
女性だけではなく、時代の空気だったり、自身の若さゆえの愚かしさなのかも。
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author: 七生子
作家や・ら・わ行(吉田 修一) | permalink | comments(4) | trackbacks(2)
 
 

吉田修一『ランドマーク』

ランドマーク
ランドマーク
吉田 修一

冒頭から、なにやら不穏な緊迫感漂う小説である。
建設に従事する労働者・隼人と、ビル建築を指示する(搾取する)側の犬飼。
この二人の男の人生が、現代日本の最先端である大宮スパイラルビルをめぐって
交差する物語だ。

男性用貞操帯を密かに購入し装着、自らの性欲を押さえ込もうとする隼人。
ビルの建設が進むにつれて、隼人のイライラは募るばかり。
「いつ隼人は爆発するのか?」の興味から、ついつい惹きつけられてしまう。
犬飼の周囲からは次第に人の気配が消えてゆき、章はカウントダウンしていく。
クライマックスで、一体、何が起きるのか
高まっていく不安感が、物語に一触即発の緊張感をもたらしている。
そして、、、。

現代に生きる私たちが絶えず感じている孤独や虚無感、希薄な人間関係などを
「最先端技術によるビルの建設」という現代を象徴するかのような場所を舞台に
思う存分、描き切っている作品なのだと思う。
隼人、犬飼、犬飼の妻、隼人の同僚である政和でさえも、
それぞれがそれぞれに心に空虚感を抱えていて、
人と繋がる事でなんとか癒そうと、懸命に足掻いている。
そのさまはせつなく、とても痛々しいのだが、でも、なんだか愛しく思えた。
(奇異に思えた男性用貞操帯の意味に(p.173)、ついほろり)

でも、このラストは、、、、、、。
神の逆鱗に触れて崩壊した「バベルの塔」とイメージが重なって見えてしまい、
とてつもなく恐ろしい予感がするのだけど、、、。


吉田修一氏が高橋源一郎氏と対談してる「広告批評」2004年8月号は入手済み。
小説を読み終えたことだし、さっそく“『ランドマーク』が意図するモノ”を
対談から拾い読みしようかな〜。
author: 七生子
作家や・ら・わ行(吉田 修一) | permalink | comments(0) | trackbacks(1)
 
 

吉田修一『長崎乱楽坂』

長崎乱楽坂
長崎乱楽坂
吉田 修一

 若い男たちの肌の火照り、女たちの熱い息。
 性と暴力の渦の中から、少年たちが切り取った、自分なりの「男」。
 長崎の大家族を舞台に描く長編。『新潮』掲載に大幅な加筆を行い単行本化。



吉田修一という作家について“現代の若者の生態を描き出す作家”というイメージを
勝手に持っていたが、この作品では昭和(50年代前後?)の長崎が舞台。
まったく作風が違う物語に、最初は「なぜ?」戸惑う気持ちのが大きかったけれど、
読んでいく内に「やっぱり吉田修一だ」納得させられたというか。
主人公である駿の成長と共に、ある「家(一族)」の繁栄と没落を、
少年の目の前を通り過ぎて行った大勢の人間の生き様を、淡々とでも鮮明に描き、
郷愁を覚えつつも、なんとももの悲しい気分にさせられる物語である。
意識的に用いられている長崎弁が文体と相まって、とても効果的。

子供の頃から「家」の呪縛から逃れたいと願いながら、
あと一歩が歩み出せずに、結果的に絡め捕われてしまった駿。
そんな彼の人生の皮肉。
物語が持つざらついたリアリティに違和感を感じさせる「離れの幽霊」とは、
そんな「家」から完全に抜け出せず、死んでいった男達の
怨念や未練みたいなモノが、こびりついて残ったモノだと思うんだけど、、、。
あの唐突な結末の後の駿がどう生きたのか、知りたいと思う。切実に。


そうそう。新潮社のHP「作家自著を語る」で
『長崎乱楽坂』を語る吉田修一”が聞けるのだとか♪
読み終わったことだし、さっそく聞きに行こう!!
author: 七生子
作家や・ら・わ行(吉田 修一) | permalink | comments(0) | trackbacks(1)
 
 

吉田修一『パレード』

 いつの時代も現実は厳しい!素顔のままでは生きにくい。
 でも相応しい自分を演じれば、そこは誰もが入れる天国になる。
 先の見えない5人、杉本良介、大垣内琴美、小窪サトル、相馬未来、伊原直輝の
 微妙な2LDK共同生活。



すっごく面白かった♪今まで読んだ吉田修一作品の中で、一番好きかもしれない。

勿論、性格的にどこか歪んでいる5人の日常は、読んでいて純粋に面白いのだが、
この小説の面白さは、章ごとに視野人物(語り手)が変わることだと思う。
5人それぞれの一人称の語りによって明らかにされる内面と、
他人の語りの中で、第三者として語られる外面とのギャップの激しさが
衝撃を感じつつも、読んでいて面白い箇所である。
それを逆手にとって“あるしかけ”を施しているなんて!まったくもって心憎い!
小説を読んでいる内に、いつの間にか植え付けられてしまった先入観を
鮮やかに裏切られる衝撃。
そう。日常でも結局は「自分が見たいようにしか他人を見ていない」ものなのだ。
同時に「自分の本心を隠し、他人からそう見られたい自分を演じている」訳なのだが。

5人の「お友達ごっこ」(サトル談)共同生活は、一見穏やかで
上手くいっているように見える。
だけど、それは5人がそれぞれに程よい距離感を保ちながら、悪意を隠し、
善人の演技をすることにより成り立っている、ちょっとしたバランスが狂えば、
簡単にバラバラになってしまう危ういモノなのである。
…そこは善意のみが入場可能な、出入り自由の空間なのだ。たぶん私たちが暮らしているこの部屋も、そんな場所なのだと思う。嫌な出ていくしかない。いるなら笑っているしかない。
…ここでは善人の演技をしているのだと思う。まさにこれを「上辺だけの付き合い」と
呼ぶのかもしれない。でも、私にはこのくらいが丁度いい。もちろんこんな生活が、一生続けられるとは思っていない。短期限定だからこそうまくいくのだろうし、意味もあるんじゃないかな、と思う。…(p.88-89より引用)

これはインターネットや「チャット」「BBS」への琴美ちゃんの印象&独白だけど、
端的にこの共同生活の本質を言い表している巧い言葉だと思う。

読み終えてこの小説の題名『パレード』の意味を考えてみた。
「祝祭日」「ハレの日」「特別な日々」…
人生で「あの頃は良かった」振り返ってそう思える懐かしく輝かしい日々があるなら、
彼ら5人にとって、この共同生活の日々が、まさしくそれに当たるのかもしれない。
そんな風に考えた私だけど、真相はいかに?

吉田修一という作家の小説の巧さ、面白さを味わえる作品だと思う。
個人的には、ヘンにしみじみしちゃういい人っぽい作品は書かずに、
“表面的には穏やか。だけど、内面では、とんでもないものがうごめいていて
日常の隙間から、ときどき暴力&悪意をちらつかせるのが人間でしょ”
みたいな作品を描いて欲しいと思う。切実に。
吉田修一という作家に、ますます惹かれてしまう私である。チェックチェック!!
author: 七生子
作家や・ら・わ行(吉田 修一) | permalink | comments(0) | trackbacks(0)
 
 

吉田修一『パーク・ライフ』

芥川賞受賞作で「パーク・ライフ」と「flowers」の中編2編を収録した作品集。
表題作は『東京湾景』に比べたら、少し色彩が淡い感じがするけれど、
「吉田修一って小説が上手いよなあ…」と改めて、しみじみ唸ったことよ。


 パーク・ライフ
多少の起伏はあるものの、ごく普通(と言っていい範疇)の生活を送っている
青年の日常を切り取って見せられたような、地味な印象を受ける作品。
なんだか、いつクライマックスが来るんだろうとじれじれさせられながら、
単調に淡々と続く日常生活を撮った映画を観ているような感じがした。

ただ、公園で会うスタバ女との関係などに、イマドキの人間関係が
投影されていて興味深い。
親しくはなるものの、ある一定のライン以上は踏み込ませない見せない距離感。
距離感を保ったまま人付き合いをする青年の、孤独と思わせない孤独。
そんなところが、地味な印象を与える作品だけど、
好ましいと思えるところなのかもしれない。
何一つ、提示された問題が解決する事なく唐突に終わるラストには
正直戸惑ったけれど、
これは“小説が終わった後も(読者の知らないところで)彼の生活は
何一つ変わることなく続いていく”と、仄めかしているんだろうなあ。結構好きかも。
(公園であったスタバ女とのその後は?宇田川夫妻のその後は?気になる気になる…)

 flowers
こっちのが色彩が濃いかなあ。
「パーク・ライフ」が目立って個性的ではない人物が登場する物語だったのに対し、
普通の顔の下に異常をひた隠す青年、“月に一度の楽しみ”ホテルを泊まり歩く妻
などなど。
狂気とは言えないまでも「普通」から逸脱しそうな危うい人々を配し、
ある日常を描いた作品。

元旦のキャラが特に目を引く。彼の持つ「静」と「動」の二面性。
特に印象的だったのが、クライマックスとも言うべき、
シャワー室での元旦へのリンチシーン。
まるで映画のワンシーン(それもスローモーションで)でも観ているかのような、
生々しさが排除された静謐さえ感じる暴力シーンに、思わず心ぐらぐら。
うん。「パーク・ライフ」もいいけど「flowers」も好き好き。


なんだか、作品集が刊行順を逆さに読んでる気がする。
素直に刊行順に読めば良かった(涙)。
誰もが絶賛のうずしおの『パレード』も、早く読みたいなあ。
author: 七生子
作家や・ら・わ行(吉田 修一) | permalink | comments(0) | trackbacks(0)
 
 

吉田修一『東京湾景』

吉田修一作品を読むのは『日曜日たち』に続いてこれで2作目。
読み始めてすぐ、そのあまりのド真ん中ストレートの恋愛小説っぷりに驚く!!
「こういう恋愛小説も書ける人だったんだッ!!」って、
まだこれで2作目じゃん、私(苦笑)。


携帯電話から始まった恋。
それぞれ、過去の恋愛の痛みを抱えている亮介と美緒(「涼子」)は
出会い系サイトで偶然出逢う。始まりは身体から始まった関係だった。
けれど、深い部分で繋がりたいという感情ときちんと向き合い、
仕切り直しをして、また新たな恋が始まる。。。

今すぐドラマ化しても大丈夫なぐらい、今どきの流行をたんまり盛り込んだ
おしゃれな物語。
二人の出会いは出会い系だし、なんか恋愛小説のまんまモデルにされてるし(笑)。
二人の職場が品川埠頭とお台場と、東京湾を挟んで相対している場所だというのも
おしゃれだけど、近づかないその距離が、二人の心の距離を表してるかのようで、
上手い設定だと唸らされる。む〜。

そう。単なる極上の恋愛小説というだけじゃなく、作家吉田修一の小説の上手さが
細部に滲み出ている小説なんである!!
なかなか本名(本心)を明かせない美緒。彼女の「涼子」のハンドル(=匿名)が
そのまま亮介への「距離」を端的に表しているようだ。上手い!

亮介主導で始まり描写されていた物語が、いつしか
それまで伏せられていた美緒側へとシフトし、
二人の主人公それぞれの心情を丁寧に描写することによって、
彼らの姿をくっきりと浮かび上がらせているのだけれど、その結果、
いつの間にか二人へと感情移入させられているんですよね。上手い!
そして緩急をつけつつ、次第に「二人の恋愛は結局どうなるの?」クライマックスへ
なだれ込んでいく手法は見事としか言いようがないのだ。上手い!

第5章のp.238あたり、美緒が
“心と心で繋がり合える愛もあるんだ!幻想じゃないんだ!”と自覚するシーンで、
つい不覚にも貰い泣き。恋愛漫画じゃ、よくあるパターンなのにね。迂闊。
でも、私の琴線をもしっかと揺さぶってくれたのは、
やっぱり小説の上手さ、なんでしょう。

恋愛小説が苦手な人でも、つい惹き込まれ読まされてしまう小説かと(私がそう)。
『日曜日たち』も『東京湾景』も、どちらもよい小説ですね〜♪
もう少ししたら『パーク・ライフ』を読むつもり。こちらも楽しみ楽しみ♪
author: 七生子
作家や・ら・わ行(吉田 修一) | permalink | comments(0) | trackbacks(0)
 
 

どこまで行ったらお茶の時間

本を買うのも読むのも借りるのも大好き!
とにかく本が好きな私七生子が、読了本の感想など綴ってます。
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