2004.07.01 Thursday
奥田英朗『空中ブランコ』
空中ブランコ
奥田 英朗
人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、ノーコン病のプロ野球選手。
困り果てた末に病院を訪ねてみれば…。
「イン・ザ・プール」から2年、トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す!
あー。面白かった面白かった面白かった!!
前作より更に、伊良部センセのキャラが暴走&炸裂してます(笑)。
っていうか、最初から最後までただ無邪気に遊んでるだけで、
治療も何もなーんにもしてないんじゃいの?
なのに、伊良部センセの元を(運悪く?運良く?)訪れた悩める子羊たちが
自然体に振舞う伊良部センセの姿に、自分が失っていたモノを見つけ
病を癒していくようすは、たとえ結末の想像がついたとしても、
やっぱり面白く、じんわり感動させられしまう。
短編5編が収録されている作品集で、
一番「うんうん。その気持ち、分かる分かる!!」共感できたのは
「義父のヅラ」かなあ。
学生時代の伊良部センセが垣間見れるのも、ポイント高し。
また「看護婦マユミちゃんってこういう一面も持ってたのね」の軽い驚きと、
作家奥田英朗なりの出版界批判がさりげなく織り込まれている
「女流作家」も印象に強く残った。
(p.242、15行目〜18行目にちらり登場する奥山英太郎って…笑)
誰が読んでも「面白い!」って太鼓判捺す作品でしょう。私も面白かった〜♪
伊良部センセの初登場作品『イン・ザ・プール』って映画化されるんですね。
“誰が、伊良部センセを演じるのか?”興味津々だったんですが、
松尾スズキさんなのだとか。へえ。
イメージ(がきデカに変換して読んでますとも)とは違うけど、
でもどこかとぼけていて憎めない雰囲気が、合っているかもね。
『イン・ザ・プール』の感想はコチラ。