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梨木香歩『西の魔女が死んだ』

西の魔女が死んだ
西の魔女が死んだ
梨木 香歩
 中学校へ行けないまいは、祖母のもとで「魔女修行」をすることになった。
 それは、何でも自分で決めるということ…。
 児童文学者協会新人賞などを受賞した、生きる力を与えてくれる癒しの児童文学。



「西の魔女」というタイトルから、
勝手に「オズ」のような魔法が出てくるFTかと思い込み、
今の今まで読まず嫌いしていた私ってお馬鹿さん。読み終わって、深く深く反省。
(ここで言う「魔女」とは、なるべく文明に頼らず、生活の中に自然を取り入れ、
心穏やかに暮らすナチュラルライフ(カントリーライフ)を送っている。
ほんのちょっぴり奇蹟が使えるみたいだけど)

「西の魔女が死んだ」と聞かされた「まい」が衝撃を受けるシーンから物語は始まる。
そして想いは2年前、西の魔女(祖母)と暮らした宝物のような日々へと飛ぶ。
そう、この物語は「まい」の回想によって綴られる心温まる癒しの物語であり、
自然と、おばあちゃんの温かい眼差しに包まれ成長していく
「まい」を描いた少女の自立の物語でもあり、
決してなくしてはいけないモノ、見失っていけないモノについて、
祖母から孫へと着実に受け継がれていくさまを、きっちり描いた物語でもある。

とにかく!西の魔女であるおばあちゃんが魅力溢れる人物なのだ(*^^*)。
祖母と孫という近しい関係なのに、ベタベタ決して過保護にはせず
「魔女修行」という形で、あたかも人生の先生と生徒であるかのように、
近づきすぎない距離を保ちながら、
野苺のジャムの作り方、洗濯機なしで洗濯する方法など教えてくれる。
作品の中で描かれるカントリーライフのなんと素敵で魅力的なことか!!
そして描写される自然のなんと美しく眩しいことか!!
日々の忙しない生活の中で、どうしても見失いがちな自然の美しさ豊かさを、
読み手であるこちらにまで、おばあちゃんに改めて教えてもらったような気がする。
そして何と言っても、追いつめられた「まい」を何も言わず黙ったまま受け止め、
肯定するおばあちゃの姿に、じんと胸が熱くなった。
「大きくなったら、私にもできるだろうか。救えるだろうか…」
ついつい考えさせられてしまった。

規則正しい「魔女修行」を送るうちに、
いつしか「まい」は生きていくリズムを取り戻し、回復していく。
そして居心地が良かったおばあちゃんの家を出て、自分の人生へと歩みだしていく。
おばあちゃんとの後味の悪い別れがしこりとなって残っていたけれど、
そのしこりが、2年経って、最後の最後で溶けてゆく。
「西の魔女」からの最後の優しい魔法に、思わず涙ぐんでしまった泣き虫の私。

同時収録されている「渡りの一日」では、その後の「まい」の姿が描かれる。
魔女修行だってあいかわらず続けているようだし、
自分の目指す生き方も見つけたようだし。。。
うん。もう大丈夫♪
でも、もっともっとショウコにしろ「まい」にしろ、
彼女たちの物語を読みたいと願うのは
欲張りすぎなんだろうか(もっともっと続編を読ませろッ!!)。


しっかし、心に沁みてくる素敵な文章で溢れている作品なので
付箋を貼りながら読んでいたら、付箋だらけになっちゃった(苦笑)。
まるで、本から付箋が生えてるみたい(笑)。
author: 七生子
作家な行(梨木 香歩) | permalink | comments(2) | trackbacks(0)
 
 

梨木香歩『春になったら莓を摘みに』

春になったら莓を摘みに
春になったら莓を摘みに
梨木 香歩
 「理解はできないが受け容れる」 学生時代を過ごした英国の下宿の女主人・
 ウェスト夫人と住人たちとの騒動だらけで素敵な日々。
 徹底した博愛精神と時代に左右されない手仕事や暮らしぶりが、
 生きる上で大事なことを伝える。



留学記(エッセイ)というより、梨木香歩という人間の人となりが、
前面に出ている文章だと思う。
留学時代の英国での思い出、出逢った人物たちとの交流(国際交流)から
学んだことが、聡明な文章で綴られているのだが、
文章や思索のそこかしこに、梨木作品の根底に流れている「思い」を
見つけ出すことができるのだ。
単なるエッセイとあなどることなかれ。
梨木作品初心者の私にとっては、作品を理解のための興味深い、
重要な一冊になったと思う。

戦争や人種問題についても、はっきりそして痛烈に言及されているのにとても驚く。
(あのL・M・モンゴメリが、人種的偏見の持ち主だったとは。驚き!!)
特に印象に残った文章がこれ。
価値観や倫理観が違う人間同士の間でどこまで共感が育ち得るのか、という課題。

コレ、とても大切な事なのに、今の世の中に欠けている事なんじゃないだろうか。

前々から素敵なタイトルだとは思っていたけれど、
このタイトルにこんなに深い意味があったなんて!!
どんな意味だって?うふふふふ。それは読んでからのお楽しみ♪

この作品を読み「作家・梨木香歩」の真摯な姿勢、誠実な人柄に
触れることになったと思う。
そのおかげで、私の中に“もっと「作家・梨木香歩」を知りたい!読みたい!”
という興味と関心が芽生え、その気持ちがどんどん膨れ上がっている。好き好き♪
全著作読破に向けて、頑張るゾ〜♪
author: 七生子
作家な行(梨木 香歩) | permalink | comments(2) | trackbacks(1)
 
 

梨木香歩『ワニ  ジャングルの憂鬱草原の無関心』

ワニ―ジャングルの憂鬱草原の無関心
ワニ―ジャングルの憂鬱草原の無関心
梨木 香歩 出久根 育

 ジャングルでは沢山の命が生まれ、生きるために食べ食べられ、
 全てが夢であるごとく皆死んでいく。
 傲慢でジャングル一の嫌われ者のワニは仲間・兄弟さえ食べて生きてきた。
 だが…。自己中心と他者尊重の境界を問う一冊。



弱肉強食の世界で、群れることなく一人孤高に生きるワニを
“自己中なワガママもの”と見なしているところがユニーク。
本能のおもむくまま、仲間も兄弟でさえ、疑問に思うことなく食べてきたワニが、
カメレオンに「仲間」という概念を、他者と繋がることを教えられたことから
調子が狂い始める。

自らの哲学「自分とじぶんでないもの」を貫き、一人孤高に生きるべきだったのか。
「仲間」と群れて和気藹々、楽しく生きるべきだったのか。

迷ったがために「親友」と勝手に思い込んでいたライオンに食べられてしまうワニ。
自業自得?それとも、それがワニにとっての本当の幸福だったのか?
人間ならともかく少なくとも自然界では、
生き延びることが最優先だと思うんだけど(苦笑)。

出久根さんによる、場面場面でのイラストが鮮やかで美しい。
始終眠たそうな半眼のライオンが、いい味だしてます(笑)。


梨木香歩さんの絵本を3冊続けて読んで、
「3冊の中から1冊だけ選べ!」と言われたら、
やっぱり『マジョモリ』を選んじゃうかもしれない。

3冊の中で好きな順番は

 『マジョモリ』>『ペンキや』>『ワニ ジャングルの憂鬱草原の無関心』

かな。
『ワニ〜』は“ちょいビターな大人向け絵本”な風情で、哲学的すぎ(苦笑)。
やはり『マジョモリ』の爽やかな読み心地に、惹かれてしまう。好き好き♪

残る絵本は『蟹塚縁起』のみ。
ご近所の図書館に所蔵されていないのが残念だけど、
近いうちに必ず読もうと思う。


梨木香歩『ワニ  ジャングルの憂鬱草原の無関心』理論社
author: 七生子
作家な行(梨木 香歩) | permalink | comments(0) | trackbacks(0)
 
 

梨木香歩『マジョモリ』

マジョモリ
マジョモリ
梨木 香歩 早川 司寿乃

今の季節に読むのに、まさしくぴったりの一冊。爽やかな風を頬に感じるようだ。
気がつかなかったけどすぐ近くにあった異界で、
少女達が楽しく過ごす不思議な時間に、心温まる思いがする。

やっぱりつばきとハナさんの物語だけでなく、
語られはしないが、かつてあったふたばちゃんとハナちゃんの親密な時間を
ついつい想像されられるところもいい。物語の奥行きと広がりを感じる。
(たとえ少女でなくなったとしても、少女の気持ちさえなくさなければ、
また再び少女の時を過ごせるってのがいい。とっても安心する(笑)。
そうそう、梨木作品には珍しく“祖母−孫”交感の物語じゃないのだ)。

これから、つばきとハナちゃんはどんな物語を作り上げていくんだろう。。。
透明感があってすっきり清々しい早川さんのイラストが、
作品の雰囲気に合っていてとても素敵(*^^*)。

後になってから、奥付の後にこっそり1ページ、隠れているのに気づいた。うひゃ。
心憎いですねえ。思わすにんまりくすくす。
あの手紙にはなんて書いてあるのかしら。。。


梨木香歩『マジョモリ』理論社
author: 七生子
作家な行(梨木 香歩) | permalink | comments(2) | trackbacks(0)
 
 

梨木香歩『ペンキや』

ペンキや
ペンキや
梨木 香歩 出久根 育

あたかも父の後を追うかのように、ペンキ屋になったしんや。
喜怒哀楽、さまざまな人生経験を積むうちに、
次第にペンキ職人としても人間としても円熟味を増していく。。。

修業時代に注文された「ユトリロの白」の本当の意味へ到達するシーン
―しんやのペンキ屋としての人生そのもの、集大成が「ユトリロの白」だった―
に感動してジーン。胸が熱くなった。
物語もさることながら、出久根さんのイラストの色合いがとても素晴らしい。
しんやの色もこうだったのでは?と思うような胸に沁みる色たち。
作品に何ともいえない奥深い味わいを出しているように思う。


梨木香歩『ペンキや』理論社
author: 七生子
作家な行(梨木 香歩) | permalink | comments(2) | trackbacks(0)
 
 

梨木香歩『家守綺譚』

家守綺譚
家守綺譚
梨木 香歩

ジャパネスク・ホラーというのかしらん?どことなく懐かしさを感じさせる幻想譚。
亡き友人の家へ「家守」として住みつくこととなった新米作家・綿貫。
四季折々に咲く花々を風景として織り込み、と同時に、
綿貫の元を訪れる優しいあやかしとの交流を描いた、ちょっぴり不思議な、
まさしく「綺譚」としか言いようがない物語である。

現実と異界の境界が定かでなくなり、あたかも夢で夢を見ているような、
あわあわとたゆかう浮遊感がたまらなく心地良い。
湖で行方不明になった友人・高堂が、掛け軸を通じ、
綿貫の元を度々訪れるという設定も、たまらなく好み。じゅるじゅる(←おい)。

時代背景は明治ごろなのかしらん?
河童がいて、小鬼がいて、狸が人を化かす。かつての日本には、
当たり前のようにあった光景である。
その当たり前だった光景が、当たり前のように「ある」世界―。
現実を離れ、たとえひと時でも…懐かしく、不思議な世界に心を解き放つもの、
悪くない。
(もしかしたら、今もこの世のどこかにある桃源郷なのかも、ね)


あやかしと人とが、ごく自然に打ち解けているようすに、ついつい心が温まる。
(今市子『百鬼夜行抄』や、波津彬子さんの一連の作品の空気に通じるかも)
私、すんごく好き好き大好きッ!!
図書館で借りて読んだけど、いつかは絶対に買うつもり♪(←結局買った♪)
author: 七生子
作家な行(梨木 香歩) | permalink | comments(6) | trackbacks(5)
 
 

どこまで行ったらお茶の時間

本を買うのも読むのも借りるのも大好き!
とにかく本が好きな私七生子が、読了本の感想など綴ってます。
ドンナ・マサヨの悪魔 六本指のゴルトベルク 遠くの声に耳を澄ませて 恋細工 ジョーカー・ゲーム きりこについて 山魔の如き嗤うもの (ミステリー・リーグ)