2005.06.15 Wednesday
長嶋有『泣かない女はいない』
泣かない女はいない
ごめんねといってはいけないと思った。「ごめんね」 でも、いってしまった…。恋をめぐる心のふしぎを描く小説集。「泣かない女はいない」「センスなし」に加え、カヴァー裏に掌編「二人のデート」を収録。
描かれているのは、特別なことなどない、ごくありふれた日常の姿で。
日常を過ごす中で起こる出会いや別れといった変化に心揺れ動く女性の感情を
繊細に、でも饒舌にではなく描いているところが好ましいと思う。
収録されている2編とも主人公が多くを語らず、
言葉にできずに飲み込んでしまった思いが胸に染みてしみじみと切ない。
それゆえなのか。その後の彼女らの人生について、あれこれ想像してしまって。
じんわり心地良い余韻が、いつまでもいつまでも胸に残って後をひく。
派手なところがまるでないどちらかというと地味な小説だけど、
何度も何度も噛み締めるごとにじんわり味がでてくる不思議な小説かと。
ようやく私も、長嶋有の作風に慣れてきたのかしら?今後の作品にも期待です♪
(カバー裏のお楽しみ「二人のデート」は図書館本ゆえ読めず(号泣)。
ぜーったいにいつか読んでやるぅ!!)