姫百合たちの放課後
森 奈津子
女子校を舞台に繰り広げられる、少女たちの可笑しくも甘酸っぱい青春から、
大人同士のディープな恋愛遊戯までを描いた「百合コメディ」8編を収録。
団鬼六や女教師ポルノのパロディであるレズビアンSM作品も掲載。
“これぞ森奈津子ワールドだッ!!”
作家・森奈津子の魅力がぎゅっと濃縮されて詰まっている、
とてもディープで愉快な百合コメディをまとめた短編集。
今の世の中、「マリみて」に代表される「ソフト百合」の世界が流行っているようだが、
森奈津子は、コメディタッチで「ソフト百合」から「ディープなビアン」小説まで書いてしまう作家である。
「ソフト百合」のエッセンスである「プラトニック」「お姉様への憧れ」
「淡い恋のトキメキ」を上手にすくい上げ、それをしっかと踏まえた上で、
森奈津子ならではの趣向を凝らした表題作「姫百合たちの放課後」そして
「姫百合日記」は、「マリみて」ファンにも読んでもらいたい作品だ。
(でも、吉屋信子的世界は期待しないように^^;)。
とにかく、収録されているどの作品からも
著者自身が楽しんで書いているというオーラが、ひしひしと伝わってくる。
それが森作品の魅力でもあり、私が心惹かれてしまう点でもあるのだが。
先日購入した『耽美なやつら』の下巻あとがきで、
やおいもレズビアン・ポルノも、ファンタジーです。
ひとつのセックス・ファンタジーとして楽しめばよいのです。
なるほど!!この言葉に、目ウロコしちゃった私。
そう!!とにかく楽しんじゃえばいいのよッ!
収録された作品には、まあ、そのう。ぽりぽり。
過激にえっちぃなシーンがふんだんに盛り込まれているので
苦手な人は苦手でしょうし、読むのが躊躇われる人のが多いかもしれない。
だけど、そこを突き抜けたところに森奈津子の面白さ、真髄があるので、
ちょっと我慢して(笑)ぜひぜひ多くの方に読んで貰いたいと思う。
どの作品も面白いのだが、特に印象に残ったのは
最後の「お姉様は飛行機恐怖症」。
返還前の香港に旅した経験がある方にとって前半は、
実感をもって共感できるのではないかと思う。
(行き損ねた。ああ、行きたかった。ぐすん)
それにしても、単なるレズビアン小説で終わらせず、しっかと「笑い」をとる芸風(?)。
森奈津子、恐るべし!!一度ハマったら、クセになります(笑)。