2005.06.22 Wednesday
古川日出男『ベルカ、吠えないのか?』
ベルカ、吠えないのか?
1943年、日本軍が撤収したキスカ島。無人の島には4頭の軍用犬が残された。捨てられた事実を理解するイヌたち。やがて彼らが島を離れる日がきて−。それは大いなる「イヌによる現代史」の始まりだった!
1943年の4頭の軍用犬から始まり、ソ連崩壊までの約半世紀を走り抜けた
犬の系譜―犬の目線による現代史と、
謎の老人と少女の物語が交互に語られる骨太で壮大な物語。
最初の4頭を祖とする血筋の犬が枝分かれするかのように世界中に散らばり、
各地で数奇な運命を辿る様子が、神の視線で圧倒的な筆力で描かれていて、
犬による現代史に大興奮!(もっと現代史を勉強していれば…歯軋り)
特に、異なる枝同士の犬の邂逅シーンがドラマティックで感動モノなのだ!
p.281ではつい感極まって涙がほろり。あのエピソードまでもが伏線とは!!
広がり続ける犬の系譜の行きつく先はどこなのか、途中から考えていたけど
こんな風に収斂するなんて!しかもそう繋がるか!うーん。脱帽。
とにっかく、物語の醍醐味を存分に味わえる作品かと。
こんなに作品世界に引きこまれ夢中になって読書したのは、久しぶりかも!
古川日出男ってものスゴイ才能だ〜。いや〜堪能しました(*^^*)。
壮絶で凄みのある老人と少女パートを読んでいるうちに、
まだ読んでない『サウンド・トラック』が読みたくなっちゃった私です。
とにっかく、先へ先へとずんずん読み進めたかったから、
途中で犬の家系図を作るのを諦めちゃったけど、あると絶対に便利だろうなあ!
地理に疎いから世界地図も。カバー見返しにぜひ欲しかったです。ぐすん。
それにしても、隣ンちのやたら無駄吠えする雑種の馬鹿犬に、
この物語を読み聞かせてやりたいよ、まったく!
んで、アイスとカブロンの爪の垢を煎じて飲ませるのだ〜(笑)。うぉん。