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生田紗代『まぼろし』

まぼろし
4104775010生田 紗代 新潮社 2005-07-21売り上げランキング : 110,664Amazonで詳しく見る by G-Tools

母とはもう、8年近く会っていない。なのに、なぜ今になって戻りたいなんて−。逃れることのできない母娘の確執を描く表題作他、実家に戻り高校生の妹と過ごすあてどない時を描く「十八階ビジョン」を収録。『新潮』掲載。

第40回文藝賞受賞者である生田紗代の最新刊。
この人なりのカラーが出てきたようで好印象(*^^*)。




同時収録の「十八階ビジョン」が、4ヶ月で会社を辞め、
実家に出戻ってきた主人公が、両親が旅行で不在の5日間、
大学受験を控えた超マイペースの妹と過ごす日々を綴ったお話で
「まさか『タイム・カプセル』のその後じゃないでしょうね!」
思わずぎょっとしちゃったのは私です(当然だけど、違った^^;)。
立ち竦んでしまったせいで、自分一人だけ取り残された事への
戸惑いと焦燥感、そして居心地の悪さを感じる主人公。
だらだらと過ごす鬱屈した日々の中で、少しづつ自身を受け入れて肯定し、
また歩み出す日が来るだろうという確かな予感を匂わせるラストが好き。
しみじみと好き(*^^*)。
ゆっくりとしか走れないんなら、ゆっくり走ればいいのよ!
(そうそう、友達がいなくてもぜんぜんOK。
超マイペースな妹の存在がとてもいいのだ、この作品。
作品全体の空気を和ませる緩衝剤の役割を果たしているのかも♪)

作者と同年代、20代前半のまだ大人になりきれない少女の揺れ動く内面を、
上手に掬い上げて描いているから、同年代により共感されるんじゃないかしら?
退職を決めたエピソードに「そう!そうなのよ!」痛いほど共感したのは私です。


でも、、、表題作「まぼろし」のが断然良かった。
デヴュー作である「オアシス」を深化させたような作品。
自分を鬱憤晴らしのゴミ箱にした挙句、離婚して家を出ていった母親が
父親と8年ぶりに復縁しようとしている、、、。
その知らせに激しく動揺する娘の内面を、過去の回想と現在とを絡めて
痛いほど繊細に描き出している。
“母親と娘の関係”が、生田さんが描きたいテーマなのかしら。
もの凄く筆が冴えていて、とてもいい。胸にずしりと沈み込んでくるかのよう。
ただただ憎悪の対象で理解不能な存在でしかなかった母親。
そんな母親へ寄せる想いが、ゆるゆると変容して行って、ついにラストで、、、
この辺りの描写に、がしっと心臓を鷲づかみにされたのは私。
こんな風にタイトルである「まぼろし」の意味へと繋がっているなんて!!

母親との関係に鬱屈したものを抱える、あるいは抱えていた女性が読んだら、
痛いほど共感できるし、また救われる物語でしょう。
今後も生田紗代は要チェックですな。
豊島ミホもそうだけど、まだまだ化けそうだ。
author: 七生子
作家あ行(生田 紗代) | permalink | comments(0) | trackbacks(0)
 
 

生田紗代『オアシス』

オアシス
4309015905生田 紗代 河出書房新社 2003-11-22売り上げランキング : 268,608
おすすめ平均
star
star台詞の音がおもしろい
starなんとなく、って感想。
star普通じゃないけど何気ない世界
Amazonで詳しく見る
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家事放棄の「粗大ゴミ」=母・君枝とパラサイトさせられている姉、単身赴任の父−そして私。女三人、奇妙な家族の行方は?『文芸』掲載を単行本化。第40回文芸賞受賞作。

“難しくって多感なお年頃”21歳5ヶ月フリーターなメー子(芽衣子)の
日常&胸の内を、まっすぐに誠実に描いているところに、とても好感触。
思春期の女の子ならたぶん誰でも通った道、
“嫌いじゃない。だけど、なぜか同性の女として母親を憎く疎ましく思う気持ち”
を、これほど的確かつ見事に描ききった作品は、今までなかったのでは?
でもねえ、私も微妙なお年頃なので(おほほほほほほほ^^;)、
おそらく更年期障害な母親への姉妹のご無体な物言いに、
苦笑いしながら共感しつつ、でもつい母親の心中を慮ってしまい、
痛々しく感じてしまうのだった。
両方の立場、心中が分かってしまうなんて…複雑だわ(苦笑)。
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author: 七生子
作家あ行(生田 紗代) | permalink | comments(2) | trackbacks(1)
 
 

生田紗代『タイムカプセル』

タイムカプセル
タイムカプセル
就活で面接60回敗退の従妹・桐ちゃんは、私の一年後の姿。未来から逃れるような大学生活のなかで、偶然出会った「親友の弟」がなんだか気になって…。『文芸』掲載を単行本化。

大学受験の喧騒はもう遥か彼方。
1歳年上の就活中の桐ちゃんは、本当に大変そう。
1年後の自分の姿だとはぼんやり分っているけど、でもまだ他人事のようで、
イマイチ、ピンとこない。でも、漠然とした不安だけは持っていたりする。
やりたい事も見つからず、ただだらだらと日々を過ごしている、、、。
特別な事なんて何も起こらない。モラトリアムの大学2年、20歳のむつ美の
ごく普通の日常を、淡々と描いている青春小説だ。

「親友(佐野)の弟」へ対する「好き」という感情すらも意識に上がらせない
むつ美の持つある種の鈍さにはイライラするけれど、
20歳時分の昔の自分をふと思い出して、不思議と心地よさを感じる。
これから先、確実に押し寄せる環境の大変化の波に飲み込まれ、流されて、
むつ美はどう変化・成長していくんだろうか、、、。
先に10年後にたどり着いてしまった人間として
いつまでもいつまでも彼女の変化を見守りたい。そう思った。

著者の生田さんは1981年生まれ。
だから同年代であるむつ美や就活中の桐子に、ものすごいリアリティを感じる。
イマドキの同年代の女の子がこの小説を読んでどう感じるのか、
とても興味があるなあ。
バブル期の女子大生としては今時の就活に「うひゃー」驚きまくったんだけど。
author: 七生子
作家あ行(生田 紗代) | permalink | comments(2) | trackbacks(2)
 
 

どこまで行ったらお茶の時間

本を買うのも読むのも借りるのも大好き!
とにかく本が好きな私七生子が、読了本の感想など綴ってます。
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