檸檬のころ
かっこ悪くて、情けなくて、でも忘れられない瞬間がある。田んぼと山に囲まれた、コンビニの一軒もない田舎の県立高校を舞台に綴る、青春の物語。
豊島ミホの最新作は、田舎の進学高が舞台のど真ん中ストレートの青春小説。
収録されている7編の作品同士が微妙にリンクしているのが、とても嬉しい♪
ある作品で語り手を務めた人物が、別の作品で脇役でちらり登場したり。
繋がりを見つける楽しみと、気になっていた人物のその後を知る喜び。
語り手によって、作品ごとの空気ががらり変わるところも、また好み。
(当たり前のようだけど、なかなかに難しいんですよね)
あとがきによると「地味な人なりの青春」がテーマなのだとか。
うーん。でも一握りの人間以外は、みーんなこんな青春なんじゃないかしら?
誰もが一度は経験した思春期の青さ頑なさ一途さ痛さ苦さ、、、
今となっては気恥ずかしい、そんな感情を思い出して、共感しまくり。
切なさで胸をきゅんきゅんさせながら読んでました。かな〜り好き(*^^*)。
さまざまな人物が語り手を務めるこの作品、中にはえっ?と思える角度から
繋がる作品もあって、直球すぎなさ加減がなかなかに面白かったんだけど、
7編で、新学期から卒業までの1年間を描いているのが、ちょっと残念。
時空を超えて、意外なところで意外な人物がリンクする楽しみまで味わえたら、
もっともっとこの作品を好きになっていたかもしれない。
収録作では、「ルパンとレモン」「ジュリエット・スター」「ラブソング」
「雪の降る町、春に散る花」の切なさ全開作品が好き。
「担任稼業」、食べ物で志望大学を決める箇所で大笑いしました(笑)。
作者の豊島さんってまだ23歳なんですよね!若いッ!
思春期に近いところにいるから、これほど瑞々しい青春小説が書けるのかな?
豊島作品は『青空チェリー』『日傘のお兄さん』『檸檬のころ』と
3作品読んだけど、この『檸檬のころ』が一番好きです(*^^*)。