2006.03.08 Wednesday
佐藤賢一『褐色の文豪』
褐色の文豪 | |
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「黒い悪魔」ことデュマ将軍の息子アレクサンドル・デュマは、父親譲りの豪胆さ、集中力を武器にパリで劇作家への道を歩み出し、ついには大傑作「三銃士」を著すが…。パリ文壇を征服したデュマII世の波瀾万丈の人生!
“アレクサンドル・デュマ”と言えば、断然「三銃士」の作者である文豪デュマなんですけどね。
動乱の革命期のフランスで将軍にまで昇りつめた「黒い悪魔」が父親で、
ましてやそれが自分とまったく同じ名前だったら、、、。
『黒い悪魔』に続く、デュマ三代記の第2巻目で、
「三銃士」や「モンテクリスト伯」が有名な文豪アレクサンドル・デュマの
波瀾万丈の人生を描いた作品です。
と同時に、偉大すぎる「自慢の父親」を持った息子が、父親を超えようと苦闘するさまを描いて、
そういう意味でも興味深い作品です。
男の子にとっての父親とは「いつかは必ず超えなければならない」存在。
それが、人間としての弱さをも兼ね備えた現実の生身の父親ではなくて、
自分のアイデンティティの拠り所とするために、幼少の頃から自分の想像力によって創り上げた、
神さながらに崇拝する完璧な「自慢の父親」だったとしたら、どうする?どうやって乗り越える?