「邪馬台国はどこですか?」を超える会心作。鯨統一郎、待望の新解釈発表!?
平安の都で世紀の謀反が発生。空海、黒幕探しに奔走す
久しぶりに読む自腹本(笑)。
手軽にさくさく読めて披露された新解釈に新鮮な驚きを味わえる歴史ミステリ。
日本史にまーったくと云っていい程、詳しくないのがこの私。ぽりぽり。
空海、最澄、坂上田村麻呂ぐらいならまあ知ってるけど、薬子に至っては。
ああ、年表でそんなの見たっけ、ぐらいの印象しかなかったんですが、、、
どこまで作品を信じていいのか判らないけど、これから先、何があっても(?)
薬子を男を惑わし堕落させる悪女として見ることはないと思ふ(笑)。
「とんち探偵一休さん」シリーズで登場した六郎太と静のコンビが再登場。
平安初期に起こった天皇への謀反「薬子の変」の真相が
空海作と云われる「いろは歌」に暗号として隠されていると指摘し、
暗号の謎に迫らんと「薬子の変」の真相を探ろうとする、入れ子構造になってます。
探偵役はご存知、でもまだ名前を売る前の空海。
友人橘逸勢とのコンビは、まるで「陰陽師」の晴明と博雅みたい♪
ほのぼのしていていい感じです(*^^*)。
空海の名推理によって、薬子が使う幻術のネタばらしを始め
「薬子の変」の真相が、次第に明かされていくようすはお見事に尽きます。
二転三転する内に辿りついた黒幕の存在に、「ぢつは…」そもそもの真意とは!
何気に読み逃していた箇所までもが伏線だったのね。すっかり降参。脱帽デス。
いつの間にか植え付けられていた先入観でこの世界を見ていたんだなあと
明かされた真相に、ぼろぼろ目ウロコしちゃったのは私。
この世界が別の物語になったかのように様相を変えて、目に飛び込んできました。
結局は空海の物語だったんですね。ふぅ。堪能堪能(*^^*)。
気になった箇所が何箇所か。ネタばらしにつき、以下、反転。
[
著者の言葉として「もう一つのいろは歌である<かたらむ歌>を発見したことが、この物語を書く大きな動機となりました。」とあるけど、たぶんこの「かたらむ歌」は鯨さんの創作なんじゃないかと思う。「いろは歌」自体空海作なのかどうかも怪しいらしいのに、そんな都合よく2つもある訳ないじゃーん…根拠が薄すぎるかしら?もう一つは「藤原梨佳」→「ふじわらのりか」→「藤原紀香」ですよね、やっぱり(笑)。『タイムスリップ釈迦如来』であれを織り込んでくださった鯨さんの事だもの。本当はこのネタを使いたくてこの作品を書いたんじゃないかと推測するんですが(笑)。真相はいかにっ!(笑)そうそう六郎太と静って、、、あの二人のご先祖さまってこと?]
「とんち探偵一休さん」シリーズの『金閣寺に密室』は既読のはずだけど、
すっかりどんな話だったのか忘れている(苦笑)。
引っ張り出してきて再読したい気分です。
空海を探偵役にしたミステリは、まだまだ続くのかしら?読みたいわあ♪