2005.06.13 Monday
鹿島田真希『二匹』
二匹
「堕落犬ジョンよ、生まれ変わりを信じるか?」 ハイスクールを修業の場とするおちこぼれに栄光はあるのか。ジャンクな日本語、クールな思考…現役女子大生が贈る学園ハードボイルド。第35回文芸賞受賞作。
「笙野頼子、松浦理英子絶賛!」と評判を聞き、気にはなっていたものの
難解そうで、今の今まで手が出なかった鹿島田真希のデヴュー作である『二匹』。
現実と非現実の入り混じり具合に最初戸惑ったものの、
明と純一の2人だけで完結している、歪んで壊れつつもどこか突き抜けて明るい
奇妙なくされ縁(もしかすると友情?)を描いた青春小説である。
学校とは弱肉強食の世界で。
そこでは“クラスの中心にいて人気者の印が押されてるけど狂犬病の純一”と、
“端に追いやられハブられる明”という役割が与えられ、それを演じている2人。
純一の狂犬病に感染して明も狂犬病になった時、何かが変わるのだろうか…。
見事にお馬鹿な2匹と化したラストシーンが、かなり爽快だったりする(笑)。
ある時は大学芋屋、そしてまたある時は養護教諭、その実態は…
狂犬を保健所送りにする者であるシズコって、一体何者〜?とか、
キリスト教を仄めかすモノがそこかしこに散りばめられていたりとか。
とことんまで突き詰めて考えると、とてつもなく深い物語のような気がする。
そこまで考えなくっても、十分に面白いですけどね。
漫画化したら、とても面白いんじゃないかしら?