待望の文化祭。そのとき学内では十文字と名乗る犯人による奇妙な連続盗難事件が起きていた。事件を解決して古典部の知名度を上げ、作りすぎた文集の完売を目指す仲間たちに後押しされて、奉太郎は事件の謎に挑むはめに…。
青春ミステリである「古典部」シリーズの第3作目。
前2作で登場した人物が、ネタばらしのないよう細心の注意を払って
再登場していて、前2作を再読してから読めば良かったかな?とちょっと後悔。
時系列的にも直接の続編で、ついに文化祭の当日を迎えます、、、。
物語は、古典部の四人四色、4人の視点によって狂乱の文化祭の3日間と
3日間の間に起きた「十文字事件」が描かれるという趣向。
裏テーマかつ重要なテーマが
“作りすぎた文集「氷菓」200部、無事に完売することができるのか!?”
だったりもするのだけど(笑)。
読み始めてずーーーっと気になっていたのはタイトルの事。
まったく「クドリャフカの順番」が登場してくる気配もなくて。
だけど最後まで読んで、疑問氷解。
『氷菓』同様、タイトルに込められた意味にしみじみ感じ入るお話なのね。
青春ミステリならではの、爽やかさとほろ苦さの混じり加減も絶妙でいい。
見落としてしまいそうなあんな事、こんな事までもが、
ラストへの伏線になっているなんて!
個人的には「わらしべ長者」の行きついた先に、唸りました。お見事!
でも一番の収穫は、古典部の4人が持ち回りで語り手を務めた事によって、
前2作のように奉太郎一人の視野では見えなかったものがしっかと見えたこと。
うすぼんやりしていた4人のキャラがこの作品でようやく、
くっきりと際立ったような気がします。
えるちゃんに摩耶花ちゃん、そして里志も、こんな事、考えてるんだね。
不満があるとすれば、本の形態がこの作品から単行本になった事かしらん。
私が読んだのは、実は初版。
誤植があると知り、米澤さんご自身のサイトで確認したんだけど、、、
これ、致命的な誤植だよねって、しっかと確認したはずなのに、
そのお知らせページを見るまで、気がつかなかった私って…(凹み中)。
でも、続編が楽しみな青春ミステリでした。読み終えて、大満足!!
(で、カンヤ祭の語源って何だっけ?ああ、『氷菓』を再読せねば〜。
叶う事なら、文集「氷菓」での奉太郎とえるちゃんのが合作で。熱烈読みたい!)