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津原泰水『赤い竪琴』

赤い竪琴

赤い竪琴

30歳を過ぎ、東京で一人虚無的な日々をおくるデザイナー・暁子。祖母の遺品がきっかけで耿介という男と知り合う。命ある限りの残酷な愛の記録。『小説すばる』掲載に加筆。


タイトル「赤い竪琴」からして何やら不穏で。

この作者のことだからホラーか幻想小説に違いないと読み始めたら…

耽美の薫りがそこはかとなく漂う正統派の大人の恋愛小説で驚いちゃった!
夭折の天才詩人寒川玄児と邦の、結ばれなかった恋人たち。

時を経てその孫同士が運命のように巡り合い、互いに惹かれ合う。

まるで玄児と邦の恋をそのままなぞるかのように…。



単に暁子と耿介が心通わせて行くようすを描いているのではなく、

その恋に、悲恋の恋人同士を重ね合わせ透かして見せて、

暁子と耿介の恋の行方をぼんやりと仄めかすなんて、まったくもって心憎い。

しかも描かれる恋愛は、あくまでもプラトニックで禁欲的な大人の恋愛なのだ!

しっとりと情緒的なのに、抑えて淡々とした津原泰水の筆による

端正な恋愛小説を存分に堪能して、大満足の私です(*^^*)。

ランボーに影響を受けたという寒川玄児の詩は、

当然のように津原泰水による創作なんでしょうが、

こちらもなかなかに素敵だったりするのよね〜。



細部に至るまで神経が細やかに行き届いてる恋愛小説。

作家・津原泰水は恋愛小説も巧いことが判って、大収穫の1冊でした。

以下、ネタばらしにつき反転→[ネットで感想を拾っていて知ったんだけど、この作品、『蘆屋家の崩壊』に収録されている「ケルベロス」と“落合花代”でリンクしてるんですねー。そう聞くまで、まるで気がつかなかったわ!!



また

吾、永劫に汝がうちに潜まむ 玄 (p.238)。


で、暁子と同様泣いてしまった泣き虫の私です。ぐすん。
]

赤い竪琴
author: 七生子
作家た行(津原 泰水) | permalink | comments(18) | trackbacks(11)
 
 

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Comments:
これは本当に良かったですよねー!!
すっごくステキで大人の恋愛小説だと思いました。文章も雰囲気も全てがすてきだった。

わたしはラスト近くの電話のところでナミダが…。くぅぅ!ほんとに良かったでっす!!

ネタバレのところは、そうなんですか!?
全っ然気付かなかった…!!
comment by: あさこ | 2005/04/03 9:44 PM
>あさこさん

ほぉんとに良かったですよねー♪
じっくり噛み締めるほどに良さが深まっていくようで。
早く文庫落ちしないかしらん(←おい^^;)。

ネタばれのところはそうでーす。
こないだ図書館に行った時にしっかと確認してきました。
どの時代が舞台でも構わないような作品だったけど、少し輪郭がはっきりしたかしら〜♪
comment by: 七生子 | 2005/04/04 10:12 AM
こんばんは☆

わあー、サイドバーには、早くも津原まつりバナーが!!

というわけで、津原泰水まつり、やろうと思ってます。
うちは、週末に記事をアップ予定。
読んだことない人も、読みたくなるような記事にしたいなあと思ってますが、どうなるやら。。

ツハラは、たいへん紹介しにくい作家ですよね。
いいところはいっぱいあるし、すごく細かいところまで配慮して書いてあるけど、
それを具体的にいちいち指摘しないと、よさが伝わらない。
それが、なかなか面倒で、難しいところ。

トラックバック・ピープルなので、過去記事でもTBしていただければ、リストができていくと思います。
複数でももちろんOKです!
comment by: overQ | 2005/06/14 8:20 PM
>overQさん

すみません。昨日はサイドに「津原泰水まつり」バナーを貼り付けたところで、力尽きちゃいました^^;。
作品を読んではいるんですけど、ブログを始める以前だったりしてエントリ数が少ないんですが、も少ししたら参加しますね〜。
まつりを機会に、積んでる『ペニス』&『少年トレチア』も読んじゃいたいです!!

すっごく盛り上がるといいですねって、盛り上がるような作家でもないんですが^^;。
comment by: なおこ | 2005/06/15 10:36 AM
わあー、本当だ、サイドバーにバナーが!
このバナー、「赤い竪琴」と同じ色だったんですねえ。
文字がまた津原作品に良く似合う♪

という私は「赤い竪琴」をまだ読んでなくて。
早く読みたい!
色んな所で感想を見かけるんですが、純愛小説だという情報だけで
後は読まないように気をつけてるんですよね。(笑)
早く読了して、七生子さんの感想もじっくり拝見したいですー。
comment by: 四季 | 2005/06/15 5:46 PM
>四季さん

四季さんが『赤い竪琴』を未読だなんて!
ちょっと驚いちゃいました。
耽美を意識して読み始めるとぜーったいに驚いちゃうかも。
四季さんの(驚きの)感想を楽しみにしてま〜す♪

私も四季さんの真似して『妖都』を読み返そうかしら。
刊行された直後に読んだきりで再読してないんですよねー。
梅雨時と津原泰水ってなぜか似合うような気がします。
comment by: なおこ | 2005/06/16 1:11 PM
七生子さん、おはようございます。読みましたよ、赤い竪琴!
いやー、純愛小説だと分かってはいても、やっぱり驚きました。
でもすっごく素敵。もう何とも言えないですね。
昨日の晩読んだんですけど、まだうまく言葉にまとまらなくて
くらくらしてます。
と言いつつ、ブログには感想を書いたのですが。まつりのために。(笑)
七生子さんにもTBさせていただきました!
comment by: 四季 | 2005/06/20 6:43 AM
>四季さん

読了されたのね!素敵な小説、でもやっぱり驚いたでしょう(笑)。
耽美を煮詰めたような津原泰水の新たな一面が見れて、
ホント、惚れ直しちゃう1冊ですよね(*^^*)。

嗚呼。私も未読の津原作品をサクサク読んで「まつり」に参加しなくちゃ!!
comment by: なおこ | 2005/06/20 11:38 PM
こんばんは。読者大賞blogへのエントリありがとうございました。私が気になってる本ばかりエントリいただいてなんか嬉しかったです。全部未読なんで早速図書館へ走らねば・・この作品が一番気になってます。津原さんまだ読んだことないんですが、これ読んで祭に参加せなあかん。ありがとうございました。
comment by: ざれこ | 2006/01/09 2:23 AM
>ざれこさん

ぜんぜん積極的に参加してなくてゴメンなさい。
え?そうだったんですか!
えへへ。ざれこさんの背中を押す形になったのなら嬉しいです。
ホラー作家として知り合ったのですが、この小説もどうしてどうして。
ざれこさんにとっても特別な作家になったらいいなと思います。
(でも、ホラーがイチオシ!ダメな人間じゃないですよね?)
comment by: 七生子 | 2006/01/09 10:28 AM
そして読みましたー。お薦めありがとうございました。なんて書いたらいいかわからないんですけど、すごくすごく良かったです。泣けました。
ホラーがイチオシってダメじゃないですよー。私はサイコサスペンス大好き女ですから。若竹七海もどんでん返しがブラックなほど好きだし。最低っすか?(笑)
comment by: ざれこ | 2006/01/18 1:47 AM
>ざれこさん

ざれこさんの感想を拝見させていただきましたが。
ふっふっふ。津原泰水の虜になりましたね(笑)。
肌に合うと、とことんまでずぶずぶハマっちゃうと思います。
いざ共に歩みましょう。津原泰水全著作読破への道を(はぁと)。

寡作な作家さんなのに、まだまだ私も読んでない作品があるんですが、
『綺譚集』が好みだったら、大丈夫だと思いますよ。
ホラーというよりも、耽美入ってる怪奇小説ですから。
ざれこさんと私、やっぱり好みが似てるかしら???
comment by: 七生子 | 2006/01/18 5:56 PM
七生子さん、こんにちわ。
読者大賞blogのエントリで見て、この表紙がものすごく気になったのですが、読んでよかったですー。
ここで出会わなかったらそのまま手にとらなかったと思います。ほんとブログやっててよかったです(しみじみ)。
噂の『綺譚集』を、さっそく借りてこなければ!
comment by: june | 2006/03/02 10:22 AM
>juneさん

わー。読了されたんですねー♪
大人な恋愛小説で、しみじみと良かったでしょ(笑)。
オススメした甲斐があったというものです(*^^*)。
『綺譚集』もぜひぜひ。お口に合いますように。
でもこの作品とテイストがぜんぜん違いますから、ご注意を!
comment by: 七生子 | 2006/03/02 11:13 AM
七生子さんこんにちは!
ざれこさんのところ経由でこの本の存在を知りました。もともとは七生子さんおすすめということで、いい出会いのきっかけを作ってくださったことに感謝感謝!です。

本当に大人の恋愛小説でしたねえ。しみじみしました。エンディングにも満足です。救いのない終わり方は苦手なので…
comment by: chloe | 2006/03/14 9:14 AM
>chloeさん

うんうん。安っぽい恋愛小説を読むのが馬鹿らしくなるぐらい
端正な大人の恋愛を描いた素晴らしい小説でしたよね♪
こんなの素晴らしい作品なのに、まったく話題にならないなんてー!
世の中、なにか間違ってますよね。まったくもって不思議です。

chloeさんがこの本と出会うキッカケになれたことを、
本当に嬉しく思います。
これからもどうぞよろしくお願いしますね〜☆
comment by: 七生子 | 2006/03/14 11:41 AM
七生子さん、こんばんは(^^)。
ところどころに差し込まれる「寒川玄児」の詩や文章が、物語にとても深みを与えてましたね。
最後の電話のシーンも印象的でしたが、その少し前の玄児の「吾、永劫に汝がうちに潜まむ」が、非常に痛かったです。玄児と邦、暁子と耿介、お互いの失ったものへの哀切が込められている気がして。
なので、耿介が戻ってきてよかった、と強く思いました。
comment by: 水無月・R | 2007/12/06 10:25 PM
>水無月・Rさん

こんにちは。コメントありがとうございます♪

この作品、現在進行形の恋愛の向こうに
もうひと組の恋人同士の存在があったことが
作品世界に深みを出してますよね。

来年には文庫化されるんでしょうか。
そしたら即入手し、溜息つきながら再読したいです〜。
comment by: | 2007/12/07 9:18 AM
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***読了本*** 赤い竪琴津原 泰水集英社 2005-01売り上げランキング
trackback by: *ちび猫ぽりんの散歩道* | 2005/04/04 7:46 PM
赤い竪琴 津原 泰水 津原泰水ですよ?この本の前に出版された本は『綺譚集』ですよ? まったく予備知識ナシで読み始めたのでびっくりしました。ものすっごいキレイでグロくて不気味な作品かと思ったら、キレイだけれども一筋縄ではいかない極上の恋愛小説でした
trackback by: コウカイニッシ。 | 2005/04/05 11:46 PM
 [amazon] [bk1] 津原泰水まつりエントリ第3弾です。本当は刊行順に読もうと思ってたんですけど、「ペニス」は今回こそゆっくりと読もうと決心してるし(...
trackback by: Ciel Bleu | 2005/06/20 6:35 AM
イッツ・オンリー・トーク(絲山秋子・著)★★★  大人だ。自分の足でしっかり立ってる表現。媚びない、イジケない。そして「粋」。作者は、ファンタジーじゃない、世の中を知ってる。 サウスバウンド(奥田英朗・著)★★★  少年が主人公なせいもあるけど、底
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 津原泰水『赤い竪琴』の感想をこちらに。もうかなーり遅いんだけれど、「津原まつり」ってまだ開催中なのかしら…(笑)。え、もう遅すぎますか、そうですか。  それにしてもよかった!!  『綺譚集』や『蘆屋家の崩壊』とはまったく違ったテイストの、まさに
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赤い竪琴発売元: 集英社価格: ¥ 1,785発売日: 2005/01売上ランキング: 115,628おすすめ度 posted with Socialtunes at 2006/01/18 初めての作家さん。ブログをやらなかったら知らなかった作家さんだが、 本屋でこの本はみかけていた。表紙の、暗いようで美しい赤
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TB用コメント・・恋愛小説ベスト、ご投票いただいた方、エントリいただいた方、ありがとうございました。いまさらですが結果発表、TBさせていただきました。 ずっと放置していましたが、恋愛小説のベスト投票、結果です。 もともとオトナの恋愛小説が揃っていて、
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赤い竪琴 この本は 「本のある生活」のjuneさん にオススメいただきました。 ありがとうございました。 ■やぎっちょ書評 これは。。「ナラタージュ現象」。  <ナラタージュ現象>とは?はてな?      本の最初でストーリーや文体になじめず、  
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うう〜。読む順番が、悪かった・・・。前日まで『図書館革命』を読んでて、ぎゃぁ〜とかひゃ〜!とか萌え叫んでたので、この大人の恋愛のシミジミに慣れるまで、非常に時間がかかってしまった。とても雰囲気のある、切なく苦しいそして優しい恋愛の物語です。やたら自分
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どこまで行ったらお茶の時間

本を買うのも読むのも借りるのも大好き!
とにかく本が好きな私七生子が、読了本の感想など綴ってます。
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