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三羽省吾『厭世フレーバー』

厭世フレーバー
4163242007三羽 省吾 文藝春秋 2005-08-03売り上げランキング : 44,392Amazonで詳しく見る by G-Tools

突然、父親が失踪。没頭していた陸上をやめ、14歳のケイは新聞を配り始めるが──。家族という不可思議な関係を描くポップな一冊

聖月さんに教えていただいた作家と作品。
いんやー。すんごく面白かった(はぁと)。

リストラされて退職した父親の突然の失踪。取り残された家族は5人。
没頭していた陸上を止めて、新聞配達を始めた次男「十四歳」、
優等生だったのに、帰宅時間が遅くなり、夜遊びしまくってる長女「十七歳」、
突如として家長としての義務感に目覚めちゃった長男「二十七歳」、
家事を放棄し、無為の日々を送る主婦「四十二歳」、
少しボケ始めた祖父「七十三歳」という、家庭内での立場も責任も異なる5人が、
それぞれの視点によって物語る家族の姿。


語り手の性格の違いが、文章に如実に反映されてるのも面白いけれど、
語り手が替わるごとに、それまで見ていたモノがまったく違うモノへと
変容してしまう驚きを味わえるのが、更なる魅力なのだ。
当たり前といえば当たり前なんだけど、でもこのヘン、
よく練られて描かれているなあと、素直に感心しちゃう。
何度、本人自らが語ることによって明かされた「真の姿」に驚かされたことか!
たとえ家族と云えども、誰とも判り合えない部分があるし、
幼さゆえに全体が見れず、真相を見逃すこともあるのね、きっと。
衝撃的な家族の秘密までバラしてくれて、他人さまのことと知りながらも、
ついつい私までハラハラドキドキ。

でもこの作品の最大の魅力は、読み進めるうちに失踪し不在のはずの父親が、
圧倒的な存在感を持って浮かび上がってくるところでしょう。
いない父親が不在ゆえに、結果としてバラバラだった家族を
ひとつにまとめてしまうおかしみ。素晴らしい♪
読了後、にっかり笑ってピースしている父親の姿が目に浮かんじゃった(笑)。
(三浦しをん『私が語りはじめた彼は』より、語るという意味で
成功している作品なんじゃないかしらん?)

「十四歳」「十七歳」は、それだけ取り出しても完成度が高く、
ひりひりする青春小説として楽しめるし、各話が微妙にリンクし合っていて、
気になるあの事の後日談が、別の語り手の物語の中で、判るのも一興。
とにっかく!読み終わって「嗚呼!面白かった!」って叫びたくなるような
骨太の家族の物語。最後の家族の姿に、心がじんわり温かくなること必至!

この作者、初めて読んだ&知ったんですが、相当な実力を秘めていると見た!
私の駄文を読んでる間があったら、ぜひとも直接作品を読んで
不可思議であったかい家族の物語を感じてください。
絶対のオススメなのだ!(笑)
author: 七生子
ジャンル別(小説) | permalink | comments(11) | trackbacks(10)
 
 

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Comments:
 七生子はじめまして。
 TBさせていただきます。
 七生子さんの言うとおり、本書はそれぞれの章が独立しているように見えるものの、父親の存在や家族が描かれていくにしたがって鮮明な一つの家族物語にも見えるそんな本だと思いました。
 でも、章立てで言うと「14歳」が僕は好きでしたね。
 また、遊びにきます。よろしくお願いします。
comment by: マサキ | 2005/10/13 10:47 AM
>マサキさん

はじめまして!TB&コメントありがとうございます。

先入観なしで読み始めたものの、すっごくパワフルな家族の物語に
すっかりイかれちゃいました。
たまらなくおんもしろい小説でしたよね!

マサキさんは「14歳」が好きでしたか。
私はどれもこれも好きかな。強いて云えば「七十三歳」かしら?
おじいちゃんの思わぬお友達にオオウケでした(笑)。

これからもどうぞよろしく。遊びに来てくださいね〜。

comment by: 七生子 | 2005/10/14 12:33 PM
はじめまして。TBさせていただきました。
本当におっしゃるとおりです(^^)
ほかの作品も読んでみたい!
できれば、さっぱりな文章はそのままがいいなぁ。
comment by: | 2005/10/14 10:27 PM
TB&コメントありがとうございます。
えーっと、どなたさまでしょうか?
もしよろしかったら、お名前を書き込んでいただけますか?

デヴュー作もなかなかに面白いようなので、なるたけ早く読みたいです。
まだ2冊しか作品はないようですが、新刊の発売が楽しみな作家さんが
また増えたと喜んでます♪
comment by: 七生子 | 2005/10/15 8:52 AM
↑↑
すいません、名前を書き忘れていました。
sonatineといいます。
TBありがとうございました。
comment by: sonatine | 2005/10/15 6:30 PM
>sonatineさん

 すみませんすみません。
 私もよく名前を書き忘れちゃうので、他人さまのことは云えませんー。
 ただちょっと前に無記名で神経逆撫でするような
 書き込みをされた方がいらしたので、無記名にぴりぴりしてますの。

 これからもどうぞヨロシクです。
 TB&コメント、本当に嬉しかったです(*^^*)。
comment by: 七生子 | 2005/10/20 11:26 AM
七生子さん、こんにちわ
設定自体重いし、「14歳」「17歳」なんてまともに書いたらものすごく重くなっちゃうのに、なんでこんなにおもしろかったんだろう!
構成もそうだけど、うまいですよねぇ。
最後がおじいちゃんというのが、またよかった。
このお父さん、そのうち部長みたいにふらりと帰ってくるといいんだけど。
comment by: june | 2005/10/25 1:24 PM
>juneさん

ほぉーんとうに面白い、ガツンとくる手応えのある作品でしたね!
この本を読めて大満足でございます(*^^*)。
そうそう、構成もまた巧いんですよねー。
さらりと凄いことばらしてくれるおじいちゃん、
そしてその話相手にまたまたウケちゃいました♪

なんでこんな父親なのに、家庭内バラバラになっちゃったのか
その方が不思議だったりします。
番外編で父親の帰還の話が読みたいですね〜。
comment by: 七生子 | 2005/10/26 1:05 PM
同じく、聖月さんのオススメでやっと読了。
久々に期待通りの快作!おもしろかった。
表紙と、オビから想像される陰鬱、ドロドロの物語とは大違いのポップな家族小説。
17歳カナの物語が秀逸。ぼりぼり頭を掻きむしる女の子、妙なリアリティー。
comment by: すの | 2005/12/11 2:31 PM
七生子さん☆こんにちは
出遅れましたが、やっと読みました。(^_^;)
おもしろかったぁ!
わたしも父親の話を読みたいなぁって思います。
comment by: Roko | 2006/10/09 1:58 PM
>Rokoさん

こんにちは。読了されたようで、おめでとうございます。
ね、ね、ね!面白かったでしょう!
想像の余地を残してるところが、心憎いですよね。

とはいうものの、他の三羽作品はまだ未読。
コンプリート目指して頑張りますわ!
comment by: 七生子 | 2006/10/10 12:24 PM
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 期せずして傑作を読んでしまった。本書『厭世フレーバー』は、ユーモア風味溢れる家族小説の傑作である。  デビュー作であり第8回小説新潮長篇新人賞を受賞した◎『太陽がイッパイいっぱい』も、オカシミ&ユーモア溢れる青春小説として中々楽しかったのだが、い
trackback by: 「本のことども」by聖月 | 2005/09/08 4:46 PM
■ 俺がかわりに殺してやろうか。父親が失踪。全力疾走のはてに少年は血の味を知った―家族の崩壊と再生をポップに描いた快作誕生。 ■「太陽がイッパイいっぱい」というタイトルの前作が気になってたけど、読めずにいた三羽省吾さん。この本を先にみつけたので読んで
trackback by:   毎日が読書日和 | 2005/09/29 10:48 PM
厭世フレーバーposted with 簡単リンクくん at 2005.10.11三羽 省吾著文芸春秋 (2005.8)通常24時間以内に発送します。オンライン書店ビーケーワンで詳細を見る (非公認)読者大賞blogの新刊本ベストに突如エントリーがあったこの本。 (本のことどもの聖月さん、い
trackback by: 本を読む女。改訂版 | 2005/10/11 5:56 PM
   『厭世フレーバー』
trackback by: シエスタ〜夢の途中で〜 | 2005/10/13 10:41 AM
trackback by: 寝ていられるのになぜ起きる? | 2005/10/14 10:13 PM
厭世フレーバー 三羽省吾 父親がリストラにあって失踪。残された家族は? というかなりよくある設定。でもおもしろくて一気に読んでしまいました。 残された家族14歳、17歳、42歳、73歳のそれぞれの立場から、父親あるいは夫、息子の失踪後が描かれますが
trackback by: 本のある生活 | 2005/10/25 1:08 PM
厭世フレーバー リストラされた父親が姿を消した。 14歳 ケイ  → 陸上部をやめて新聞配達 17歳 カナ  → いい子をやめて深夜までバイト 27歳 リュウ → 急に家長の意識にめざめる 42歳 薫   → すっかり酒びたりになる 73歳 新造 
trackback by: 愛読随想 | 2005/11/25 10:39 PM
「厭世フレーバー」三羽省吾(2005)☆☆☆☆★ ※[913]、国内、現代、小説、家族、父不在 本読み人仲間聖月さんのオススメということで図書館に予約、同じく本読み人仲間mamimixさんの気になる一冊と知ったところに、図書館から連絡。期待して読んだ。 まず、苦言
trackback by: 図書館で本を借りよう!〜小説・物語〜 | 2005/12/11 2:25 PM
厭世フレーバーposted with amazlet on 06.10.05
trackback by: ついてる日記? | 2006/10/09 1:58 PM
タイトル:厭世フレーバー 著者  :三羽省吾 出版社 :文藝春秋 読書期間:2007/09/19 - 2007/09/20 お勧め度:★★★★ [ Amazon | bk1 | 楽天ブックス | Book off ] 突然、父親が失踪。14歳のケイは陸上部をやめて新聞配達、27歳のリュウは急に家長の意識
trackback by: AOCHAN-Blog | 2007/11/09 12:07 PM
 
 

どこまで行ったらお茶の時間

本を買うのも読むのも借りるのも大好き!
とにかく本が好きな私七生子が、読了本の感想など綴ってます。
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