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長野まゆみ『箪笥のなか』

箪笥のなか
406213053X長野 まゆみ
講談社 2005-09-07
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おすすめ平均 star
star姉弟の距離
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長野まゆみの新境地が、いまここに拓かれる。
古い紅い箪笥をめぐる不思議ワールド
弟は少年のとなりへ布団を敷く。久しぶりに紅い箪笥のそばで眠るのを愉快がる。幼い日の晩のように見知らぬ人物が枕もとに佇つのを期待している。頭からすっぽりかぶる黒い雨合羽を着たその人物は、弟の耳に手のひらをあてた。電車の音が聞こえてきたと云う。小学生だった弟は、怖いだの気味悪いだのとは感じなかったらしい。

“長野まゆみの新境地”が謳い文句なのが、この作品。
確かにそれまでの長野作品といったら“少年たちが主人公で、旧仮名遣いとルビを多用した
独特の硬質で甘美な物語”で、独特の「長野ワールド」の刻印済みだったのに、
この物語は、不思議な赤い箪笥が妖しを呼び寄せる「箪笥綺譚」とでも呼びたくなる連作集。
なんといっても語り手となる「わたし」は30歳前後の成人女性だし、
不思議を見て引き寄せてしまう体質の「わたし」の弟も成人男性で、しかも妻子持ち!
今まで「長野作品はちょっとクセが強くて…」敬遠していた人にとっては、
とても読みやすい作品になっているんじゃないかしら。
“新境地”といえども、四季の移ろいが色彩も鮮やかに盛り込まれていたり
(四季の食卓のなんと豊潤なことか!)、こだわりのある漢字の使い方に
長野ワールドの欠片を見つけて、ほっと安心。ファンにも嬉しい作品集です。
現在の世の中から、次第に消えて去っていくジャポニズムが
作品全体に濃厚にたちこめているところに強く惹かれるし、ものすごく好きだと思いました。
ちょっと前なら当たり前にあった光景を、不思議な箪笥がぐっと引き戻してくれる。
箪笥の小抽斗から始まった物語が、姉弟の子供時分の記憶を呼び覚まして
「今」と密接に絡み合う。
各話、思いがけない顛末が用意されてるところもいいですね。楽しみに読んでました。
(姉弟の間にある親密な阿吽の空気感もすごく良かったなあ。すごくリアル。
いや、私は一人っ子ですけどね)

不思議な物語とは別のお楽しみもちゃーんと用意してあって、
連作集が進むうちに、少しづつ成長していく弟の子供ハトくんがまあ!なんて可愛いこと!
続きの物語がちゃんと用意されていて、そちらでもハトくんの成長のようすが
読めたらいいなと願う、私なのでした。

読み終えるのが勿体ないほど、いつまでもこの作品世界に浸っていたかったです。
ものすご〜く大好き!図書館で借りて読んだけど、買っちゃおうかな。
author: 七生子
作家な行(長野 まゆみ) | permalink | comments(2) | trackbacks(0)
 
 

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Comments:
これは全く面白くてイイカンジでしたね。セリフを「」で囲まないのは「紺極まる」あたりからでしたが、主人公がアレですし。でも入りやすかったし、会話も自然でスルスル読める。何であんなに美しいものが、美しいまま描けてしまうのかしら・・・ハトのクリームパンめっちゃ美味しそう。長野ファンなら分かるはずですが、あの人の作品は、読んでるとオヤツ欲しくて仕方なくなるんですよねー。青い鳥シリーズでも、白樺の樹液とか、ゴマかりんとうとか、キャラメルとか、銀ラムネ・・・いかん、おなか空いてきた。
箪笥のなかでは、弟にしろ語り手にしろ子供にしろ、名前が出てきませんね。「あまり口にするものじゃない」と言うことを、変わっているといいつつ受け入れて話しているのがいい。いろんな価値観、意思が混在しているのが。ああ早く新刊出してくんないかな・・・ドラマCDでもいいけど。
comment by: かつみ | 2007/02/12 1:19 AM
ええ、私もこの作品、好きです。
姉弟の姉は、いつの間にか長野さんご自身を重ねて読んでいたかも。
かつきさんご指摘のように、読んでるとお腹がすいてくる作品でもありました。
この作品は待っていれば文庫化されそう。
実現する日をじっと待ってますわ。
comment by: 七生子 | 2007/02/14 11:39 AM
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