2006.01.18 Wednesday
阿川佐和子ほか『最後の恋』
最後の恋 | |
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この想いはきっと、人生に一度しかおとずれない奇跡――誰の胸にも永遠に輝きを失わない恋がある。女性作家8人が磨きあげた、宝石箱のような恋愛短編集。
「最後の恋」と聞いて、あなたはどんな恋を思い浮かべるのでしょうか。
人気女性作家8人が描く8通りの「最後の恋」の姿。
作家各人の持ち味を生かし、情感豊かに描き出されるのは、
まさしく!というべき“最後の恋”から、まったく想像もつかなかった“最後の恋”まで
実にさまざま。
“最後の恋”というお題で、こんなに色々な解釈が出来るんですねー。ビックリ。
自分の単純さを恥ずかしく思いながらも、8通りの“最後の恋”を堪能しました。
真っ先に読んだのは松尾由美「わたしの鏡」。
ミステリ作家らしく“手鏡の片恋を綴った原稿の作者は誰か?”作者探しと絡めて
“最後の恋”を描きます。またいつかの出逢いが…と思ったのは私だけじゃないハズ。
次に読んだのは沢村凛「スケジュール」。
まるで『カタブツ』(感想)に収録されてもおかしくないお話で、
“自分のやるべきことについて、スケジュールを立ててそれを守ることができる”が特技の
天音にとっての“最後の恋”を描きます。選択を迫られて、天音はどちらを選ぶのか。
p.139の最後の1行からp.140にかけて、読んでいて背筋がぞわっ。こ、怖い!
くどいように天音の性格を強調しつつ描いていたのは、そのためだったのね(汗)。
小説の上手さはよく判るけど、ちょっと、、、。他の方の感想もぜひ聞いてみたい。
次から収録順に読んで三浦しをん「春太の毎日」。
冒頭の1行目に思わずぎょっ。
でも、読んでいるうちにだんだん仕掛けが判ってきて、ほのぼのした気持ちに。
こんな“最後の恋”もあるんですね(*^^*)。
一抹の寂しさも感じながらも、陽だまりで日向ぼっこしてるかのように心も体もぬくぬく。
ぽっと心が温かくなるお話です。
谷村志穂「ヒトリシズカ」が、もっとも私が考えた“最後の恋”に近かったかも。
まるでここだけ空気が違うみたい。短編なのに密度がぎゅっと濃厚で。
最後、東京の一室で何が彼女を待ち受けているのか、祈るような思いで読み進めて…(涙)。
“最後の恋”に、こちらまで心引き千切られるかのような痛みを感じました。切ない。
エッセイは読んだことあるけれど、小説を読むのはこれが初めて。
阿川佐和子「海辺食堂の姉妹」はおとぎ話めいた仲良し姉妹の恋のお話。
妹を心配してやきもきする面倒見がいいお姉さんの姿を微笑ましく思いながら
意外な展開におやまあ!くすくすくす。
恋よりも姉妹の互いを思いやる気持ちにほっこりするお話かと。
柴田よしき「LAST LOVE」も良かった!
適齢期を少し過ぎた辺りのごくごく普通の女性を美化することなく、
打算的で嫌らしい面も過不足なくきちんと描いているところに好印象を持った。
“最後の恋”ってこういう意味でもあるんですねえ。思わず目ウロコ。
p.178〜179に思わず胸が熱くなってしまったわ。こういう“最後の恋”も悪くない。
構成の面白さがあるのが、乃南アサ「キープ」。
最後の最後まで読んで初めて、題名の意味が判るのが心憎い。
15歳で自分で自分に呪いをかけた女性に訪れた“最後の恋”。
これまた30代後半離婚歴あり女性の内面を、鬱屈まで含めて上手にすくい上げて
描いてるところについつい共感しちゃいます。
恋の行方も気になるけれど、呪いが解けますように。切実に思ってしまいます。
角田光代「おかえりなさい」で描かれる“最後の恋”は、
他の作品と視点が変わっているんですね。憧れの姿である、と。
着眼点のユニークさが、とても印象に残ります。二重に物悲しくもあるけど。
この作品集は「YEBISU BAR」と「Yahoo!Books」に掲載された
「プレミアストーリーズ」に加筆・訂正の上、単行本化されたものなのだとか。
てっきり「小説新潮」掲載作を収録したのかと思っていたわ!
とびきり上等の“最後の恋”が8篇も収録されている恋愛小説アンソロジー。
どの“最後の恋”も読んで損なし!
作家さんの意外な才能に驚くかも、よ。
ミステリ作家らしく“手鏡の片恋を綴った原稿の作者は誰か?”作者探しと絡めて
“最後の恋”を描きます。またいつかの出逢いが…と思ったのは私だけじゃないハズ。
次に読んだのは沢村凛「スケジュール」。
まるで『カタブツ』(感想)に収録されてもおかしくないお話で、
“自分のやるべきことについて、スケジュールを立ててそれを守ることができる”が特技の
天音にとっての“最後の恋”を描きます。選択を迫られて、天音はどちらを選ぶのか。
p.139の最後の1行からp.140にかけて、読んでいて背筋がぞわっ。こ、怖い!
くどいように天音の性格を強調しつつ描いていたのは、そのためだったのね(汗)。
小説の上手さはよく判るけど、ちょっと、、、。他の方の感想もぜひ聞いてみたい。
次から収録順に読んで三浦しをん「春太の毎日」。
冒頭の1行目に思わずぎょっ。
でも、読んでいるうちにだんだん仕掛けが判ってきて、ほのぼのした気持ちに。
こんな“最後の恋”もあるんですね(*^^*)。
一抹の寂しさも感じながらも、陽だまりで日向ぼっこしてるかのように心も体もぬくぬく。
ぽっと心が温かくなるお話です。
谷村志穂「ヒトリシズカ」が、もっとも私が考えた“最後の恋”に近かったかも。
まるでここだけ空気が違うみたい。短編なのに密度がぎゅっと濃厚で。
最後、東京の一室で何が彼女を待ち受けているのか、祈るような思いで読み進めて…(涙)。
“最後の恋”に、こちらまで心引き千切られるかのような痛みを感じました。切ない。
エッセイは読んだことあるけれど、小説を読むのはこれが初めて。
阿川佐和子「海辺食堂の姉妹」はおとぎ話めいた仲良し姉妹の恋のお話。
妹を心配してやきもきする面倒見がいいお姉さんの姿を微笑ましく思いながら
意外な展開におやまあ!くすくすくす。
恋よりも姉妹の互いを思いやる気持ちにほっこりするお話かと。
柴田よしき「LAST LOVE」も良かった!
適齢期を少し過ぎた辺りのごくごく普通の女性を美化することなく、
打算的で嫌らしい面も過不足なくきちんと描いているところに好印象を持った。
“最後の恋”ってこういう意味でもあるんですねえ。思わず目ウロコ。
p.178〜179に思わず胸が熱くなってしまったわ。こういう“最後の恋”も悪くない。
構成の面白さがあるのが、乃南アサ「キープ」。
最後の最後まで読んで初めて、題名の意味が判るのが心憎い。
15歳で自分で自分に呪いをかけた女性に訪れた“最後の恋”。
これまた30代後半離婚歴あり女性の内面を、鬱屈まで含めて上手にすくい上げて
描いてるところについつい共感しちゃいます。
恋の行方も気になるけれど、呪いが解けますように。切実に思ってしまいます。
角田光代「おかえりなさい」で描かれる“最後の恋”は、
他の作品と視点が変わっているんですね。憧れの姿である、と。
着眼点のユニークさが、とても印象に残ります。二重に物悲しくもあるけど。
この作品集は「YEBISU BAR」と「Yahoo!Books」に掲載された
「プレミアストーリーズ」に加筆・訂正の上、単行本化されたものなのだとか。
てっきり「小説新潮」掲載作を収録したのかと思っていたわ!
とびきり上等の“最後の恋”が8篇も収録されている恋愛小説アンソロジー。
どの“最後の恋”も読んで損なし!
作家さんの意外な才能に驚くかも、よ。
COMMENTS
本宅ほったらかしにしていてすみません。土下座。
アンソロジーは決して嫌いじゃないけれど、
でもそればかりだとちょっと…って思いますよね。
しをんちゃんと松尾由美さんが名前を連ねているのを見て
手を出したんですが、大正解でした(*^^*)。
期待せずに読んだ作品に感動して胸を熱くしちゃいました。えへへへへ。
くりむーぶさんもぜひぜひ!
沢村凛さんの作品の感想を、ぜひお聞きしたいです!
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