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琴音『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』

愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ
愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ琴音
ライブドア パブリッシング 2005-12-17
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発売前から出版界にセンセーションを巻き起こした、幻の文学賞辞退作が遂に待望の刊行!
自殺した元恋人の部屋で、「私」は地図の描かれたメモを見つける。地図を頼りに辿り着いたのは、スラム街にある一軒のアパート。住人たちが職業としているのは、個室で客の「告白を聞く」という商売だった。聞き屋となった私は、住人のひとり「イップ」との恋に落ちる。しかし甘い生活は長く続かない。街には葬列、追いかけてくる過去、恋人の秘密。数々の謎はある夜に起きた爆弾テロに収束し、物語はクライマックスを迎える。「私」が辿り着いた究極の愛の姿とは。

著者の琴音さんによると、本書は
フーガにはまる人は、統計上、比較的若い女性、トラウマを持っていたり、精神的に傷ついているメンヘル型の人、社会的なストレスを膨大に抱えている人、読書知識人男性なんですねぇ。。。疲れているなぁ、と感じるあなた、フーガが癒してくれます。
大地にしっかり根を生やした健全な人間は、フーガ、ダメみたいです…。

とのこと。なるほどなあ。私には「告白」することで癒される過去もないし、
「告白」に共鳴できるトラウマもないもんなー。
という訳で私は、残念ながらこの作品に選ばれた読者にはなれなかったようです。
最初の印象は松浦理英子「葬儀の日」+西条公威「スペル・イー・エス」シリーズ+
中山可穂『白い薔薇の淵まで』かな。

「告白をすることで癒される人、告白を聞くことで癒される人がいる」
それは非常によく判るのだけど…登場する人物という人物が語る過去話である「告白」が、
あんまりにも痛くて痛くて、、、単に読者を怖がらせようという悪巧みなんじゃないかと
勘ぐりたくなるぐらいに、心がひりひりして痛くて痛い「告白」が続きます。
彼らが個々に受けた痛みと心に負った傷の深さは十分すぎるほど、よく判る。
でも、だからと云って登場人物の造詣に厚みが出てくる訳ではないし、
個々の「告白」が、積み上げることによって何かへと姿を変えるといった
物語として繋がってこないのが、とても残念に思いました。

とは云え、私をめぐる葉(イップ)やパンノキにアヤメや革命家、天使にブル、
ミシンと海亀といったアパートの住人たちはとても魅力的だし、
この死と暴力に支配された町も、案外居心地が良さそうで住んでみたい気がする。
あえて固有名詞を出さずに「判る人には判る」ワードを嵌め込んでいるのもソソられるし。
そんな風に、(痛みを堪えながらも)「お。面白いじゃーん」
惹き込まれるかのように夢中になって読み進めていたのに…
どう結末をつけるのか、行方が気になりだした残り1/4ぐらいのところで
残念ながら私、物語から振り落とされちゃいました(涙)。

作者が云いたいことはなんとなく判るのだけど、完全に置いてきぼりをくらった感じ。
高らかに「愛」を歌い上げるこのラストも、感動というより戸惑いを感じました。うー。
ファンタジーの、フーガの形式を借りて純愛、うん。確かに純愛を描いているものの、
「癒し」ではなく「救い」を、物語としてのカタルシスを、私は感じたかったんだけどな。
(あ。関係ないけど私、本気の不幸自慢が一番嫌いなんです)
そうそう。説明が必要な部分にページが足りず、
語る必要がない部分まで饒舌に語りすぎた部分があったようにも思いました。
天使の「告白」は、やっぱり必要だったと思うんですけどね。
前半の雰囲気を後半でも味わうことが出来れば、もっと好きになれたかもしれない。

再読しれば、また感想が変わるかしら?変わりそうな予感もするなあ。
と、読み終えて冒頭部分を読み返した私はそう思ったのでした。
残念ながら選ばれた読者にはなれなかったけど、次回作に期待してます。
author: 七生子
ジャンル別(SF&ホラー&FT) | permalink | comments(0) | trackbacks(1)
 
 

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 第17回日本ファンタジーノベル大賞で、優秀賞を辞退したことで話題になった『愛をめぐる奇妙な告白のためのフーガ』の感想をこちらに。うーん、可もなく不可もなく…といった感じ
trackback by: 日々のちょろいも 2nd | 2006/02/24 12:11 PM
 
 

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本を買うのも読むのも借りるのも大好き!
とにかく本が好きな私七生子が、読了本の感想など綴ってます。
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