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ほしおさなえ『モドキ』

モドキ
モドキほしお さなえ
角川書店 2006-04
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by G-Tools

世界には、特別な人とそうじゃない人がいる。特別な人だけが輝いて、愛されて、記憶される。でも、そうじゃない人は…?郊外のマンションに暮らす主婦が覗いたウェブサイト。そこに掲載されていた写真の中のミニチュアの女性は、自分とそっくりの顔をしていた。これは偶然?それとも…。密かに売買されるその人間もどきを巡り、切なく危うい物語が始まる。

「なぜタイトルが『モドキ』なの?」
不思議に思いながら読んでいて、半ばを過ぎてようやく腑に落ちた鈍すぎの私(汗)。
すんごくヘン!でも、すんごく面白い!
よくよく考えると気持ち悪い部分が多々あるにかかわらず、
ミステリ的な仕掛けが気になって、先へ先へとページをめくって読んじゃいました。
SF?それともホラー?
『パラサイト・イブ』というか『天使の囀り』というか『月の裏側』というか。
物語自体も面白かったけど(ぼこぼこ体から湧き出てきて、意味不明の言葉を発する
ちっちゃい人なんて!発想がすげー!つか「科学レスキュー911」私も見たーい!)、
ちっちゃな人しか愛せないマツナガのアミに寄せる愛情とか、
愛があるのかないのか、カホとマツナガの奇妙な同居生活とか、
共感できるような出来ないような重たすぎる鬱屈を抱えるカメイさんとか、
クセのある登場人物らによって、物語がどんどん深く厚みをましてくのがいいですね。
広げた風呂敷がきちんと畳まれた…とは言い難いかもしれないけど、
私としては十分に許容範囲。
最後まで読んで、また冒頭に戻ると、「そういうことなのか」と思えるかと。
(ま、それでもやもやが綺麗に消え去ってすっきり、とはならないんだけど。
「純文学的なもの+エンタメ」みたいな物語で、エンタメ的にはやや不完全燃焼ぎみだけど、
時には詩的でもある純文学的な部分がいいのよね。

 なにもかもざらざらした映像みたいだ。この風景も。今までの人生も。物語のなかで、わたしというキャラクターに適当にあてがわれた記憶のように。
 どれもこれも偽者。ここにあるのは単なるつくりもので、はらっとめくれると向こうにはちがう世界が広がっているんじゃないか。(p.4)


思っていた以上に含みのあるタイトルなんですね。思わず溜め息。
私って本当に人間なのか。「モドキ」じゃないのか。確実にそう言い切れるのか?って、
読み終わった後、ふと不安になって考えたくなります。
そうして見ると、表紙の写真(?)がものすごく意味深なモノに見えてきます。
裏表紙なんて特に。

人形(ドール)など、ちっちゃいものを愛でる趣味が私にもあれば、
もっともっと楽しめたかもしれません。
未読のほしお作品があるので、そう遠くないうちに読んでみたいです。

author: 七生子
ジャンル別(SF&ホラー&FT) | permalink | comments(4) | trackbacks(2)
 
 

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Comments:
七生子さん、こんばんは!
これは面白かったですねー。B級ホラーっぽさがなかなか好みです。
「科学レスキュー911」私も見たいー。
ほしおさん、初めて読んだのですが他の作品も気になっています。
comment by: リサ | 2006/10/10 11:02 PM
>リサさん

わざわざコメントいただいちゃって恐縮です。

まだこの作品と『ヘビイチゴ・サナトリウム』しか読んでないんですが、
「ヘビイチゴ〜」、ミステリとしては収まりが悪いんですが
青春(思春期)小説としては、なかなかに好みの作品でした。
リサさんも好みだと思う!(勝手に決めつけちゃってゴメンなさい)

実は消化できなくて、感想を書きそびれちゃったんですよね(汗)。
リサさんの感想を、お待ちしてますー!

うふふ。この作品を読めて良かったーと思います。
手に取ったことで選ばれて、面白かったと楽しめたことで選ばれて。
私たち、幸せな読者ですね(*^^*)。
comment by: 七生子 | 2006/10/11 12:34 PM
こんばんはー。
トラバありがとうございました。
この本はたしかに、
> 『パラサイト・イブ』というか『天使の囀り』というか『月の裏側』
って感じでしたね。この部分には、納得でした。
でもわたしはですねー、それら+エロっていうかフェチっていうか、
そういう観点から読んでしまって、なんか切なかったです。
(いまさらかまととぶっても仕方ないのでカミングアウトしてますが・・・)
この本は、変態の孤独、を描いた、哀しい物語でした。

・・・あ、やっぱ、違います?(笑)
comment by: ゆうき | 2006/10/12 2:34 AM
>ゆうきさん

コメント、ありがとうございます。

私みたく「ホラーとかSFとして読む…」んだ人のが大半だったんじゃないかな。
ゆうきさんの視点は「そういう見方もあるんだあ!」新鮮でしたよ(笑)。
確かにそういう読み方で読んだ方が、楽しそうだし。
そういう機微が読み取れなくて残念だったな、と思います。

comment by: 七生子 | 2006/10/12 11:05 AM
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モドキほしお さなえ角川書店2006-04by G-Tools 世界には、特別な人とそうじゃない人がいる。特別な人だけが輝いて、愛されて、記憶される。でも、そうじゃない人は…?郊外のマンションに暮らす主婦が覗いたウェブサイト。そこに掲載されていた写真の中のミニチュアの
trackback by: ひなたでゆるり | 2006/10/10 10:52 PM
モドキ ほしお さなえ 角川書店 2006-04 この本を一言であらわせる言葉がありません。事件もあるし、謎もあるし、トリッキーな仕掛けもあるから、ミステリー?でもこれはどう考えてもSF?雰囲気はバイオホラー?満たされない愛を描いた恋愛小説?実は純文学?
trackback by: 本を読んだら・・・by ゆうき | 2006/10/12 2:30 AM
 
 

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