2006.06.27 Tuesday
豊島ミホ『夜の朝顔』
夜の朝顔 | |
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クラスメイトとの微妙な距離感、となり町での発見、垣間見るオトナの事情…。小学生センリが初めて知る不安、痛み、恋。新しい発見に満ちた濃密な日々のなか、ゆっくりとオトナになる少女を描いた連作集。
わわわ!すごくいいですね、この連作集。まるで豊島ミホ版『永遠の出口』って感じ。
物語の舞台となるのは、さほど昔でもなく、海沿いのとある田舎町だけど、
主人公センリの小学1年生から小学6年生までの6年間を描いた連作集の
それぞれのエピソードを読んでいる内に、見事なまでにセンリに共感。
そして心の奥底に沈んでいた、忘れてしまいたい、でも忘れられない
小学生の頃の自分を引っ張り出してきて、ほろ苦く反芻してしまいます。
ふとした時のセンリの感情の揺れが、
怖いほど繊細かつ丁寧にすくい上げて描かれているから、
「よくこんな感情まで覚えてる!でも、これは大人になってからの目線だよね」
感嘆しながらも意地悪く思ったりしちゃうんですが、
幼い頃から、疑問を抱くまでもなくずーーーーっと一緒にいた女の子達に
ふとした拍子に違和感を抱き、ついには訣別しちゃうところなんぞ、
「それそれ!私にもあったよ!すんごくよく判る!」
共感の嵐(笑)。
自我が芽生え始めた思春期の女の子のそういう複雑な感情を描写するのが、
すごく巧いんですよね、豊島ミホさんて。
ほろ苦さ満点の擬似初恋に、淡い初恋のエピソードもいいなあ。
気になる、でも嫌なヤツだった男子への「好き」という感情に気づくところと、
そしてセンリが自分が「女」であることに目覚めるところとが、
絶妙に絡み合っているところが、とても好き。
そうそう小学校の6年間て、女の子を少女へ、そして恋する女へと変容させてしまう
激動の6年間なのでした。
年齢を重ねるごとに、センリが感じる違和感や居たたまれなさが増えていって
「判る!」と思いながらも、無邪気なままでいられないのが切なくてほろ苦くて。
やっぱりセンリは豊島ミホさんがモデルなのかしら?
そんな裏読みをふとしたくなるけどこの作品、 とても良かったです。
読む人の世代を問わず、共感を呼ぶ作品なんじゃないかしら。
怖いほど繊細かつ丁寧にすくい上げて描かれているから、
「よくこんな感情まで覚えてる!でも、これは大人になってからの目線だよね」
感嘆しながらも意地悪く思ったりしちゃうんですが、
幼い頃から、疑問を抱くまでもなくずーーーーっと一緒にいた女の子達に
ふとした拍子に違和感を抱き、ついには訣別しちゃうところなんぞ、
「それそれ!私にもあったよ!すんごくよく判る!」
共感の嵐(笑)。
自我が芽生え始めた思春期の女の子のそういう複雑な感情を描写するのが、
すごく巧いんですよね、豊島ミホさんて。
ほろ苦さ満点の擬似初恋に、淡い初恋のエピソードもいいなあ。
気になる、でも嫌なヤツだった男子への「好き」という感情に気づくところと、
そしてセンリが自分が「女」であることに目覚めるところとが、
絶妙に絡み合っているところが、とても好き。
そうそう小学校の6年間て、女の子を少女へ、そして恋する女へと変容させてしまう
激動の6年間なのでした。
年齢を重ねるごとに、センリが感じる違和感や居たたまれなさが増えていって
「判る!」と思いながらも、無邪気なままでいられないのが切なくてほろ苦くて。
やっぱりセンリは豊島ミホさんがモデルなのかしら?
そんな裏読みをふとしたくなるけどこの作品、 とても良かったです。
読む人の世代を問わず、共感を呼ぶ作品なんじゃないかしら。
COMMENTS
この本はほろ苦い懐かしさと共に読了・・・。
わたしは豊島さんみたいに遠足の行き先を全部覚えて
いたりする記憶力は持ち合わせていないのですが、
それでも懐かしさを掻きたてられる部分はありました。
「永遠の出口」は以前から読んでみたいと思っていましたが、
まだ読んでいないので今度こそと思っています。
こんにちは。コメントありがとうございます。
某人曰く、まだ20代前半のミホさんにとって小学生時代は、
まだまだ振り返るのが辛くない時間だ、とのこと。
抜群の記憶力の良さもあるんでしょうが、
記憶の奥底に押し込めたほろ苦い郷愁を
かきたててくれますよね。
「永遠の出口」は、もろストライクゾーンでした。
絵都さんとほとんど同世代なので。
文庫にもなったことだし、再読してみようかなと思ったりもします。
女友達と決別しちゃうところとか、玩具にされてる男子に対する感情のいたたまれなさとか、
わかるー!どころか、昔のクラスメートがそのまんま思い浮かんできさえしました。
美しい記憶とは別バージョンの記憶が甦ってきて、ちょっとたじろぎましたが、すごく好きです。
こんにちはー。コメントありがとうございます。
うんうん。私もjuneさん同様、共感の嵐でしたよ。
胸の奥底にしまいこんで封印したはずの記憶まで
蘇ってきちゃって、身悶えするほど困ったのも一緒です(苦笑)。
豊島ミホさん、作品を発表するごとに巧くなりますよね。
積んでる『エバーグリーン』も早く読まねば!と思ってます。
それを共感とはいえないのですが、うなづく自分がいました。
もっともこれは「少女の小説」、男性のぼくがきちんと理解、共感できるとは思えないと感じたののもまた事実でした。
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