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青柳いづみこ『六本指のゴルトベルク』

六本指のゴルトベルク
六本指のゴルトベルク 青柳 いづみこ

岩波書店 2009-02
売り上げランキング : 128998

おすすめ平均 star
star音楽の不思議、音楽の魔が降り積もっていくエッセイ集

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『羊たちの沈黙』のレクター博士には指が六本あった!そんなエピソードにプロのピアニストは立ち上まる。音楽にこだわると、誰もが知っている小説に新しい世界が拡がってくる。クラシックは苦手、という読者も、小説の中で紹介されている音楽を聴きたくなってくる。音楽と文学をむすぶ絶好の読書案内。『図書』好評連載の単行本化。
 創元ライブラリのラインナップで見て、青柳いづみこさんのお名前だけは知っていたけど、著作を読むのはこれが初めて。プロのピアニストであるのと同時に、エッセイストとしての才能もお持ちの方なんですね。極上の音楽小説ブックガイドを堪能しました。堪能しすぎて、紹介される本みな読みたくなってしまった(汗)。読みたい本がまたまたどっさり増えてしまった(笑)。

JUGEMテーマ:読書
 古今東西の小説やミステリの中から、音楽や音楽家を題材とする作品を取り上げ、プロの音楽家の視点で読み解き紹介する本エッセイ。  
 小説の中で音楽がどんな役割を果たしているのか、どんな意図が込められているのか。音楽に馴染みのない人間なら深く考えることなく通りすぎてしまう箇所に立ち止まって、音楽家ゆえの視点と軽妙な語り口とで、分かりやす読み解いてくれるので、読んでいて「こんな読み方があったのか!」目ウロコしまくり。  
 しかも古典だけでなく、国内外のエンタメまでフォローして幅広く紹介してくれるので、作者の守備範囲の広さにまたまた驚かされてしまう。未読の本はもちろんのこと、既読の本でもまた読みたくなってくる。 
 そして単なるブックガイドで終わらず、紹介されている本ばかりか音楽まで聞きたくなってくるのが特色かも。作中に流れる音楽を聴きながら、小説を読みたい誘惑に激しく駆られる。「クロイツェル・ソナタ」聞きながら、『クロイツェル・ソナタ』読みたーい!魅惑的なブックガイドであるのと同時に、さりげなく音楽ガイドでもあるのかもしれない。  

 枕や紹介する本のエピソードに重ねて、音楽業界の体質や裏話、青柳さんご自身の実体験、音楽家のトホホ&愉快なエピソードの数々をユーモアも交えながら、でも赤裸々に綴られているところも興味深い。音楽家という人種が、いかに世間一般の「常識」とかけ離れているのか、どれだけ特殊な世界にいるのか、どれだけ気難しく繊細なのか。「3 完璧な演奏」での“「完璧」な演奏とはどういう意味での完璧なのか”の考察や書き下ろし部分「30 シャープとフラット」の
ピアノの先生というのは、アンデルセンの『豆の上に寝たお姫さま』みたいなものだ p.242
が強く印象に残っている。また、紹介した本の登場人物らに思いっきり感情移入しながら文章を綴られるところにも好印象。同じく「シャープとフラット」のラストの一行
でも弾きたいよね、そりゃあ、弾きたいよね。 p.248
に、「分かるーーーーーー」私までぐわんと共感に巻き込まれてしまった(笑)。  

 単なるブックガイドにとどまらず、ほんのひととき、音楽の不思議に触れることのできる極上の一冊。これを機会に、青柳さんの他の著作も読んでみたい。

※読んでいて気になったのがカストラートの歌声。

youtubeて何でもあるのね。「最後のカストラート」の歌声が聴けます。録音状態の悪さも味というか、鳥肌が立ちそう。ぞわり。ショタとしては、外見おっさんが少年の声で歌っても有難味をさほど感じないばかりが人工的な異形の技に不安感を掻き立てられ嫌悪感を感じそうになるけど、直接目にして聞いたら、きっとそのヘンのおぞましい美しさへの背徳感にやみつきになりそうな気もする(汗)。

以下、自分用メモ。

トマス・ハリス『羊たちの沈黙』/ジョン・フランクリン・バーディン『悪魔に食われろ青尾蠅』/永井するみ『大いなる聴衆』/中山可穂『ケッヘル』/S.J.ローザン『ピアノ・ソナタ』/ジャン・エシュノーズ『ピアノ・ソロ』/エルフリーデ・イェリネク『ピアニスト』/小川洋子『余白の愛』/ポーラ・ゴズリング『負け犬のブルース』/ジャン・エシュノーズ『ラヴェル』/奥泉光『鳥類学者のファンタジア』/澤木喬『いざ言問はむ都鳥』/篠田節子『マエストロ』/クリスチャン・ガイイ『ある夜、クラブで』/ケイト・ロス『マルヴェッツィ館の殺人』/ドミニック・フェルナンデス『ポルポリーノ』/高樹のぶ子『ナポリ 魔の風』/ジョン・ガードナー『マエストロ』/ギィ・スカルペッタ『サド・ゴヤ・モーツァルト』/安達千夏『モルヒネ』/アンドレ・ジッド『田園交響楽』/ロマン・ロラン『ジャン・クリストフ』/マルグリット・デュラス『モデラート・カンタービレ』/アンドレイ・マキーヌ『ある人生の音楽』
author: 七生子
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本を買うのも読むのも借りるのも大好き!
とにかく本が好きな私七生子が、読了本の感想など綴ってます。
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